Project/Area Number |
23KJ0701
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45050:Physical anthropology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 滉真 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 自然人類学 / 人類進化 / 生体力学 / アフリカ大型類人猿 / ナックルウォーク / シミュレーション / 筋骨格モデル / 歩行分析 |
Outline of Research at the Start |
力学シミュレーションに基づくナックルウォーク進化要因の解明によって、ヒトとアフリカ大型類人猿の最終共通祖先のロコモーション(移動運動)を探り、ヒトの常習的直立二足歩行の起源に迫る。具体的には、 (1)類人猿の新鮮冷凍屍体を用いた、手関節にかかる受動的な弾性(ばね)特性の計測 (2)動物園にて、ゴリラのナックルウォーク時の三次元身体運動と床反力の計測 (3)自律歩行生成神経回路を組み込んだゴリラ全身筋骨格モデルに基づいた、計算器内でのナックルウォークの再現 (4)ナックル歩行生成後、物理モデルの変数変更による、ナックルウォークの運動効率に大きく寄与する因子の探索 によってナックルウォーク進化要因を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒトとアフリカ大型類人猿の最終共通祖先のロコモーションを探り、ヒトの常習的直立二足歩行の起源に迫ることが目的である。そのため、計測・シミュレーションを通してナックルウォークの運動や力学適応・アフリカ大型類人猿の身体構造上の制約を理解し、ナックルウォーク進化要因を解明する。 そのために、アフリカ大型類人猿の生体・屍体を用いた力学・運動計測と、計算機実験に使用するモデル作成を行った。 1)関節受動弾性特性計測では、アフリカ大型類人猿の新鮮冷凍屍体を用いて、手関節にかかる受動的な弾性(ばね)特性の計測を行った。申請者らが開発した、受動トルクと関節角度を同時に測定する装置を用い、筋や腱のばね特性(受動弾性特性)を測定し、その力が姿勢に与える影響について考察した。現在、上記内容について論文投稿中である。 2)三次元動作計測(床反力計測・運動計測)では、京都市動物園にて、ゴリラのナックルウォーク時の三次元身体運動と床反力を同時に計測する環境を構築した。また、動作計測を常時可能となる環境に改善し、動物の自然な歩行に任せることによるデータ収集の困難さを克服した。それに伴い、無線式床反力計を有線式に改造し、力覚センサを用いて2台のゴリラ用床反力計を設置した。更に、ネットワークカメラ4台を用いて、ゴリラ歩行時の全身身体運動を撮影した。これらのデータは、全てインターネット経由で常時研究室から取得可能であり、日々蓄積するデータの分析を現在実行中である。 3)力学シミュレーションでは、ニシローランドゴリラ1個体の全身CT画像を用いてゴリラ三次元全身骨格モデルを構築し、解剖の先行研究に基づいて筋肉を貼付して、ゴリラ三次元全身筋骨格モデルを作成した。この筋骨格モデルを三次元動作計測で得られた関節点データとマッチングし、ゴリラナックルウォーク時の三次元筋骨格運動を再現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度中に予定していた、京都市動物園でのゴリラナックルウォークの常時三次元動作計測環境を構築することができた。この際、初めから床反力計2枚で計測環境を構築することができ、計測の効率が格段に向上した。予定していたカメラの6台体制化などの機材アップデートは、現環境での解析が軌道に乗り次第、施設担当者と協議・検討を行う。また、計測環境の構築により、ゴリラナックルウォーク中の運動学的・力学的解析を行えるようになり、ゴリラの非常に希少なデータを大規模に入手することが可能となった。また、ゴリラ全身身体力学モデルから全身筋骨格モデルへの更新や関節受動弾性特性計測の追加計測など、その他課題を達成することができた。神経回路モデルへのリズム生成回路の組み込みは今後行なっていく予定である。これらのことから総合的に判断して、研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ゴリラナックルウォーク時の三次元動作計測データを効率的に処理し、解析を本格化していく。そのためにオートトラッキングツールの姿勢推定モデルより一層学習させていく。また、神経回路モデルへのリズム生成回路の組み込みを行い、計算機上での自律的なナックルウォークの生成をめざす。更に、力学シミュレーションに用いる筋骨格モデルをこれまでより複雑化する。具体的には、現在の1節にまとまった手部モデルを指骨セグメントごとに細分化し、より複雑な運動を可能とするモデルを構築する。その後、手部モデルを全身モデルと統合し、より実際の三次元運動・床反力データと一致する自律歩行を生成する。
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