Project/Area Number |
23KJ0757
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小西 優実 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 脱病理化 / トランスジェンダー / 性別移行 / 医療化 / 医療アクセス / 性別不合 / 性別違和 / 性同一性障害 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、現代日本社会におけるトランスジェンダー(以下、TG)に関する医療の成立と現状について、特に病理化と医療アクセスに伴う問題という二側面に着目し明らかにすることである。そのために、戦後以降の医学的言説を扱うガイドライン、学術雑誌、学会誌、官報、新聞といった医学的言説に関連する資料調査、および医療従事者へのインタビュー及びフィールド調査を通じ、日本における病理化と医療アクセスの関係性の変遷について総体的に明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現代日本社会におけるトランスジェンダー(以下TG)に関する医療の成立と現状について、特に病理化と医療アクセスに伴う問題という二側面に着目し明らかにすることである。本研究の具体的な内容は、大別すると以下の3つである: [A]TG に関する医学的枠組み、病理的な位置付け、介入の方向性がどのように日本の医学及び法制度の中で位置付けられ、変遷していったのかを分析する。[B][A]で明らかにした制度化のプロセスを踏まえつつ、日本の TG にとって選択肢となっている医療行為へのアクセスの経路について、その具体的な種類とそうした経路の形成プロセスを分析する。[C]医療を利用するTG当事者40名、及び医療を提供する医師やコメディカル20名程度へのインタビュー調査を行うものである。 本年の調査は以下のとおり実施した。 [A]1990年代から2023年までの、主に医療従事者が刊行した論文、書籍等の収集を行った。本年度は、特に2010年代以降の医療者の言説の変化に着目することにより、医療者にとって「脱病理化」がどのように受容されているのかを明らかにすることができた。 [C]医療従事者へのインタビューを開始し、3月末現在14名へのインタビューを完了した。インタビューを通じ、医療従事者たちはすでにトランスジェンダーの問題をめぐり、さまざまな形で「社会」を認識していることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査に関してはおおむね順調に進展していると言える。理由としてまず、 加えて、医療従事者へのインタビュー調査を複数の地域にまたがり進めることで、探索的に医療現場の中で捉えられている問題や葛藤などの所在を探ることができた。他にもトランス当事者のインタビューデータを利用した語りをもとに、「診断」をめぐる価値判断の両義性の所在を明らかにしたのは進展であろう。また、資料の収集とそれに基づく分析からは、医療者にとって「脱病理化」がどのように受容されているのかを明らかにすることができた(現在論文として投稿中である)。 一方で、当事者、医療者のインタビューともに探索的であり、問いを焦点化せず行えていなかった点、地域について網羅的にインタビューができていない点などは今年度の課題である。加えて、文献調査においても、現在に影響している医療制度の構造と、1960年代から生じた諸問題とどのように連関しているのかについては明らかにすることができなかったため、限界がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、以下3点の課題に取り組んでいく。第1に、インタビュー調査をに関しては、当事者、医療従事者双方について、前年度に調査しきれなかった地域におけるインタビューを拡充させることで、地域ごとに生じている医療の問題の共通性と固有性を明確化し、日本のトランス医療の実情を明らかにする。第2に、インタビュー調査によって明らかにした日本の医療内部の複数性と共通した構造の形成過程について、収集した資料を用いて通時的に明らかにする。そして第3に、このような構造が日本の医療社会学上の問題、例えば医者患者関係、インフォームドコンセント、父権性の問題などとどのように連関して扱うことができるのかにも取り組み、本研究の理論的位置を探る。
|