Project/Area Number |
23KJ0856
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39020:Crop production science-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
本田 爽太郎 東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 野外トランスクリプトーム / イネ / 予測モデリング |
Outline of Research at the Start |
野外トランスクリプトームとは、野外に生育する植物の網羅的遺伝子発現情報を指し、遺伝子情報、環境による影響、そしてそれら相互作用をすべて反映している。これまでに申請者らの研究グループは、遺伝子型と環境情報からイネ葉のトランスクリプトームを再構築するモデル、およびトランスクリプトームから光合成速度を予測するモデルの開発に成功した。これら知見を基盤として本研究では、1)草丈や葉形態等の表現型を予測するモデルの作成、2)予測した複数の表現型からバイオマスを予測する統合モデルの作成、3)各表現型と密接に関連する遺伝子の抽出と機能証明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
野外トランスクリプトームとは、野外に生育する植物の網羅的遺伝子発現情報を指し、遺伝子型、環境応答、それら相互作用を反映した巨大生命情報である。これを利用することで先行研究では、圃場に生育するイネの光合成速度の変動を予測することが可能となった。本研究では、野外トランスクリプトームの利用によって他の作物生産上重要な表現型の変動を予測し、その制御メカニズムを明らかにすることを目的とした。 2023年度は2022年度に引き続き、草丈および葉の形態に関する表現型のデータ取得を実施し、予測モデリング解析に取り組んだ。まず、コシヒカリ/タカナリの交雑自殖系統群を野外水田圃場にて栽培し、生育期間を通じた草丈の時系列変化を解析した。これにより、2022年度に取得済みのデータと合わせて約13,000データを取得することができた。また、葉の形態に関する表現型データを高効率かつ省力的に取得するために、新規画像解析システムを開発した。2年間にわたって取得した約6,000枚の止め葉のスキャン画像から葉面積、葉長、葉幅、葉色、葉脈数を計測することに成功した。 その後、表現型を目的変数、トランスクリプトームを説明変数とした機械学習モデリングを行った。トランスクリプトームは、遺伝子型および環境情報からトランスクリプトームを推定できる数理モデル「FIT (Kashima et al. 2021)」を用いることで取得した。過学習を抑制するアルゴリズム「LASSO (Tibshirani 1996)」を用いて回帰した結果、学習データに含まれない検証用系統の草丈変化を高精度に予測することができた。一方、葉の形態関連形質に関しては精度良く学習、予測を行うことができなかった。原因として学習データの少なさと偏りが考えられ、生育段階に伴う葉の形態変化を含めた学習データの追加が有効方策だと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外水田圃場における栽培試験により、大規模な表現型データセットを取得することができた。さらに野外トランスクリプトームを利用して、系統ごとに草丈の伸長量を予測するモデルの開発に成功した。開発中の葉の形態に関する予測モデルについては、現段階での予測性能は高くないが、学習データの数と多様性を増すことで改善可能だと考えられる。画像解析の自動化によって効率的にデータを取得する準備が整ったため、過去にスキャンした葉画像についての計測を直ちに実行できる。 また、モデリング解析の際には新規に導入した高性能ワークステーションを活用し、加えて並列計算を導入したことで、解析時間を従来の1/5程度に短縮することができた。そのため、今後はより高速にモデル開発が進むと想定される。各表現型について予測モデルが完成した後には、シミュレーション解析等によって関連遺伝子と制御メカニズムの解明に迫ることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、過去5年間にわたって蓄積してきた、生育期間を網羅した約15,000枚の葉画像について上記解析を実施する。得られたデータをモデルの学習に利用することで、予測精度の向上を目指す。その後、開発済みの光合成速度および草丈予測モデルに、葉形態の予測モデルを統合し、地上部バイオマス重の大小を予測することを試みる。なお、学習データに対応する地上部バイオマス重のデータは取得済みである。 さらに表現型の変動を制御する遺伝子の同定を目指して、開発した機械学習モデルの解釈に取り組む。予測モデル内において大きい寄与を示す遺伝子群を、機能情報や関連文献と併せてリスト化し、候補遺伝子の絞り込みを進める。有力な候補遺伝子については、遺伝子型ごとの発現変動パターンをシミュレートし、その環境応答性を評価する。
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