Project/Area Number |
23KJ0859
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
市原 さやか 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 非接触圧力場計測手法 / 水中超音波 / 高時空間圧力場計測 |
Outline of Research at the Start |
癌の低侵襲超音波療法の実現に向けて,申請者が開発した大振幅変動圧力可視化計測法 (VT -BOS法)を用いて,細胞組織内における超音波の圧力場を計測し,細胞損傷の範囲を定量的に予測することを研究目的とする. 計測した圧力場から気泡群の最大半径を予測し,計測した細胞損傷の最大半径と比較することで,両者の関係を明らかにし,目的である細胞損傷の定量的予測を達成する. そして細胞損傷範囲を正確に予測・制御できる超音波治療法の実用化に向けた学術基盤を構築し,低侵襲性な早期癌治療の実現に貢献する.
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究は,2年間を通した研究の目的達成に向けて,大振幅変動圧力可視化計測法 (VT -BOS法)を用いた高時空間解像度な音場計測の構築を目指した. 一眼レフカメラ,背景模様,パルス光源を用いて,我々の構築したVT-BOSを適用することで,高時空間解像度での音場計測を達成した.VT-BOSは,ハイドロフォンでは計測困難である,散乱体によって反射した圧力場を捉えることに成功した.非線形な集束音場に関するシミュレーション結果と比較することで,VT-BOSの圧力場に対する計測性能を議論した.さらに従来の圧力計測手法であるハイドロフォンの計測結果とVT-BOSの計測結果を比較し,空間解像度の違いが計測性能へ与える影響について議論した.VT-BOSでは背景模様と計測対象との距離を変えることで,計測可能な最小振幅と最大振幅の値を変えることができる.そこで計測条件を変えることで,VT-BOSの計測可能な振幅がどのように変わるか議論した. 本研究成果に関しては,査読付き国際学会(The 11th International Conference on Multiphase Flow, Apr. 2023.)や,流体力学に関する3500人規模の大規模な国際学会(76th Annual Meeting of the APS Division of Fluid Dynamics)などで発表を行った.さらに流体計測,流体力学,キャビテーションに関する国内学会(可視化情報シンポジウム 2023. 日本流体力学会 年会2023. キャビテーションに関するシンポジウム(第21回))で発表を行った. VT-BOSに関して可視化情報学会誌へ解説記事の投稿を行った.現在は,超音波に関するジャーナルへの本成果の投稿に向けて準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画と実際の進展について比較する.当初の研究計画では2023年度以前に,既に大振幅変動圧力可視化計測法 (VT -BOS法)を用いた高時空間解像度な音場計測を達成予定であった.そして2023年度では,細胞を模擬したゲル(アガロースゲル)内で,超音波の集束距離を変化させたときの圧力伝播モデルの支配要因を明らかにし,細胞組織と超音波の収束距離に適した改良伝播モデルを構築予定であった.しかし実際には,2023年度にVT -BOS法を用いた高時空間解像度な音場計測の構築を達成し,今年度から細胞模擬ゲル内における音場計測を実施する. このような研究計画の遅延に関する理由として,実験装置の構築に時間を要したことが挙げられる.所属研究室では,これまで超音波を使用した実験を実施した例がない.そのため,超音波実験で必要とする装置の自作や購入が必要であった.この中で一番時間を要したのは,超音波を駆動させるのに必要な圧電素子の購入と,超音波発生装置である振動子の制作である.圧電素子は発注から3ヶ月程度の日数を要した.また振動子は購入する場合と比べて,目的に合わせた条件の微調整が容易な利点を有する一方で,設計工学・材料力学・電気電子工学などの知識を必要とし,購入する場合と比べて時間を要した.以上のことから,当初の計画に比べて,進捗は「やや遅れている」.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進歩状況で示したように,本研究は当初の計画に比べてやや遅れている.しかし当初の研究計画からの逸脱は予定していない.VT-BOSによる,高時空間解像度での音場計測の達成に引き続き,VT-BOSによる細胞模擬ゲル内での集束音場計測の実現を目指す.さらに当初の予定であった,細胞を模擬した粘弾性体内における非線形な超音波の伝播に関して数値シミュレーションでは算出困難な散乱体の影響を含んだ改良モデル構築を目指す. 推進方策として,音場計測にはこれまでに構築したVT-BOSを用いる.これまでの研究成果から,VT-BOSによる音場計測の性能については議論済みであり,今後は計測手法として利用できる.また細胞模擬ゲルとして利用するアガロースについては,既に入手している.アガロースは,細胞組織の作成に利用できることなどを先行研究や予備実験から確認済みである.以上を踏まえ研究計画を遂行する.
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