Project/Area Number |
23KJ0860
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 27010:Transport phenomena and unit operations-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
TUMURBAATAR BOLOR UYANGA 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 難水溶性薬物 / 溶解性向上 / 相分離融液 / 融液晶析 / 高剪断力 / 微細構造 |
Outline of Research at the Start |
化成品の“安定性”は医薬品等では重要な品質である。しかし、安定性を担保しようとすると、“溶解性”が悪くなり、生物学的利用能が低下してしまう。逆に、高い“溶解性”を持つものは、構造が“不安定”なため、医薬品等では保存期間の問題が生じることになる。そこで申請者は、多成分系の融液晶析の概念を応用し、結晶化による“安定性”と微細構造形成による“溶解性”向上を図ることで、医薬品の“安定性”と“溶解性”間のトレードオフを解消する手法を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、薬物と溶媒とが混ざり合わない相分離する融液を対象に、結晶化と微細構造形成によって、医薬品の安定性と溶解性のトレードオフを解消する新手法の開発を目指している。今年度は、相分離した融液に対する晶析操作および融液組成、薬物負荷が難水溶性薬物の溶解性に与える影響を研究し、その一部の成果を国際および論文にて発表した。 まず、結晶核化・成長に影響を与える操作・条件である攪拌、剪断力付加、雰囲気温度変更、冷却速度の変更等を相分離する融液に対して行い、得られた製品結晶の品質(溶解性、安定性等)を評価・検討した。製品品質の評価には、光学顕微鏡、紫外可視分光光度計、XRD-DSC装置などの様々な分析機器を用いた。また、コンピューターソフトを用いて、自身の実験データおよび既往研究の論文データを理論式に当てはめたフィッティングを行い、難水溶性薬物の溶解速度を算出し、比較・検討を行った。その結果、相分離融液に高せん断力を加えることで得られる薬物リッチな液滴の分散と溶媒成分の微細結晶析出との相乗効果により、難水溶性薬物の溶解性を向上できることを明らかにできた。操作の変更については、国際学会で口頭発表および論文発表した。 次に、溶媒成分の組成を変えることで融点や操作性を変更し、得られた製品品質の評価比較を行い、溶媒選定の指針獲得を目指した。溶媒組成の変更によって、薬物の溶解性の向上度合いに違いがみられた。これは、溶媒成分の融点や固化速度が変わることで、形成される微細構造が変化したことが原因だと考えている。また、溶媒および目的薬物の割合を変更し、高薬物負荷時に溶解性が低いという問題点を新たに見出した。これに対し、剪断力付加および曝気を組み合わせた新たな固化手法を考案し、検討している。融液組成、薬物負荷変更に関する研究結果は、来年度の国内学会、国際学会および論文発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の令和5年度の研究計画の中の、①攪拌、冷却速度変更、曝気による結晶化促進、②混合溶媒の組成、および溶媒と薬物の割合変更を相分離融液に対して検討することができた。①の成果の一部は、2023年9月の国際学会で口頭発表および論文発表した。②の検討によって、薬物負荷が大きくなると、薬物の溶解性向上が難しくなるという新たな問題点を明らかにできた。そのため、当初の方針を少し変更し、高薬物負荷の組成でも薬物の溶解性を向上できる新たな操作の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、現在取り組んでいる、高薬物負荷の時の溶解性向上手法について引き続き検討を行う。また、③溶解性と安定性が担保された新たな医薬品複相固体創製法を開発するために、これまでに得られた、晶析操作や結晶化条件、溶媒特性などと製品品質との関係を総括し、新たな医薬品複相固体の具体的な創製法を提案する。また、様々な難水溶性薬物を対象として、薬物の溶解性改善に効果的であることを確認し、考案した新たな手法の有用性を実証する。令和6年度は対象薬物を拡張し、本手法の有効性を検証する。この成果は秋の国際学会で発表し、論文発表も行う。
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