Project/Area Number |
23KJ0867
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
行貞 春香 東京農工大学, 大学院生物システム応用科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | リグニン / 固体NMR / DD-MAS |
Outline of Research at the Start |
リグニンは木質系バイオマスの1種で、資源の豊富さ、安価である事、抗酸化性等の性質から材料利用が期待されている。しかし、高付加価値製品の利用例は全生産量の2%程度に留まる。その原因として、高環境負荷な単離プロセス・単離時の変性と低分子量化・低成形加工性等が考えられる。そこで、同時酵素糖化粉砕法(SESC)という温和な条件でのリグニン抽出法と、高純度・ナノ粒子のSESCリグニンに着目している。本研究では、SESCリグニンを主成分とする材料の創製を目指し、SESCリグニンへの柔軟鎖の付与による重合体の作製と機能評価を行う。この研究を通して、リグニンがより高付加価値利用される社会に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
同時糖化粉砕リグニン(SESCリグニン)を主体とする材料化に向け、柔軟なポリマー鎖の導入のグラフト反応を実施するに当たり、SESCリグニンの溶媒溶解性が低く、グラフト反応後のSESCリグニンの化学構造評価が困難である点が課題であった。従来のリグニンの材料化の研究においては、溶液の1H-NMR, 13C-NMR, 31P-NMR, 二次元NMRが行われてきたが、それらの方法をSESCリグニンに直接適用させる事は困難であった。そこで、当研究では、固体NMRのリグニンの化学構造評価における適用を検討した。先行研究では、リグニンの化学修飾をCP-MASを用いて定性的に行った研究結果が報告されているが、当研究では化学修飾の定量評価を行う事が、今後グラフト化リグニンを作製した際に材料物性と化学構造の関係を明らかにする上で重要であると考え、13C DD-MASの適用を検討した。積算回数・MASの回転速度・緩和時間の条件を最適化を行い、SESCリグニンの13C DD-MAS測定を行った。各シグナルの帰属は、リグニンの二量体モデル化合物の溶液NMRの結果との比較により行った。化学修飾後の評価としては、無水コハク酸を用いてSESCリグニンのエステル化を行い、エステル化SESCリグニンの13C DD-MAS測定を行った。エステル化により、メチレンとカルボニル由来のシグナルが新たに観測され、これらの積分比から化学修飾反応を定量的に行う事ができる事が明らかとなった。また、グラフト化反応の開始部位をSESCリグニンに導入する反応に関しても反応の条件検討を行い、13C DD-MASを用いて開始部位の導入を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、SESCリグニンの化学構造の評価法として従来法を用いる事が出来ないという点は予期しておらず、化学構造評価法の検討を行うという事は計画外ではあった。しかし、1年間でSESCリグニンの化学修飾の定量的な評価法を確立する事ができ、グラフト化SESCリグニンを合成するための開始部位の導入まで行う事が出来ているため、計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSESCリグニンに導入した開始部位に実際に柔軟なポリマー鎖を導入するグラフト化反応の条件検討を行う。実施するグラフト化反応・導入するポリマー構造としては当初の計画通り、ATRP法によるポリアクリル酸エステルの導入を検討している。開始部位の導入率・開始部位の導入選択性・ポリアクリル酸エステルの側鎖構造・ポリアクリル酸エステルの分子量の制御を行い、様々なグラフト化SESCリグニンを合成する。得られたグラフト化SESCリグニンの力学的強度と熱的性質の評価を行い、化学構造と材料物性の関係を明らかにする。
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