On the m-step solvable Grothendieck conjecture in anabelian geometry
Project/Area Number |
23KJ0881
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 永悟 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | 数論幾何学 / 遠アーベル幾何学 |
Outline of Research at the Start |
数学では二つの全く異なる分野の間に思わぬ関係が存在し、その架け橋を経由することにより一つの分野だけでは思いつかなかったような面白い結果を示すことができる事がある。本研究が位置する遠アーベル幾何学とはまさにそのような架け橋の一つであり、具体的には幾何学(代数多様体)と代数学の関係を説明している。 本研究は既に形作られている遠アーベル幾何学を、有限次可解という性質に立脚して再展開するというものである。この有限次可解という性質は代数の中でも特に計算機的に扱いやすい性質であり、従って本研究は本来非常に複雑な幾何学の世界を計算機的にも扱いやすい代数の世界へ渡す懸け橋を構築するものだと捉えることができる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は遠アーベル幾何学で重要な未解決問題であるm次可解Grothendieck予想の肯定的な解決である。m次可解Grothendieck予想はmが小さいほど強い主張であり、m=2の場合が最も強く重要な予想である。m次可解Grothendieck予想に対しては、本研究以前からいくつかの先行研究が存在したが、本年度はそのうちの二つの拡張を行った。より具体的には、種数が0の双曲的代数曲線に対するm次可解Grothendieck予想をm=2 (本研究が想定している最善の形)の場合に肯定的に解決した。この証明は本年度に行う予定であったm次可解cuspidalization理論の構築を使用しておらず、むしろそれを回避した形で想定以上の結果を得ることに成功したという点で非常に価値のあるものであると考えている。本年度に得られた結果は、種数が0だけでなくより高い場合にも同様にm=2の結果が得られる可能性を示しており、今後の研究方針の正当性を示すだけでなく、予想解決へ向けての大きな指針になるものである。 本来の研究目的であったm次可解cuspidalization理論についても研究を進めており、上記の結果とともに2年度目も引き続き研究を行っていく予定である。これらの結果は本年度に行われた3つの研究集会 (第22回広島仙台整数論集会, 第7回数理新人セミナー, Anabelian Geometry in Tokyo 2024) で概説講演を行っており、これらの研究集会では結果の周知と新たな情報の収集に努めた。特に、他研究者とのディスカッションを経てm次可解Grothendieck予想と結び目理論との新たな関連に気づくことができ、2年度目からはその方針も取り入れて研究を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に、種数0の双曲的代数曲線に対するm次可解Grothendieck予想についての研究を行った。これらは本来は2年度目に行う予定であった研究の一部であるが、本来想定していたm次可解cuspidalization理論からprime-to-p版の結果を得るという流れを経由せず、直接prime-to-p版の結果を示すことができたという点で非常に価値のある研究である。特に、本年度の研究から、より高い種数の双曲的代数曲線に対するm次可解Grothendieck予想に対しても本来想定していた流れに頼らず、、m次可解cuspidalization理論を経由せずに直接prime-to-p版の結果を得られる可能性が示唆されたと考えている。これらは2年度目にも継続して進めていく予定である。 また、本年度は本来想定していたm次可解cuspidalization理論の構築へ向けての研究も行った。具体的には同様の研究を行っている研究者とのディスカッションを行い、本研究前に想定していた以上の部分について結果を得ることに成功した。仮にm次可解cuspidalization理論を経由せずに直接prime-to-p版の結果を得られるのであれば、それが最善であると考えられるが、m次可解cuspidalization理論はそれ自体価値のあるものである。したがって、どちらの方針が最終的に採用されたとしても、本年度の研究には大きな価値があり、本年度は順調に研究が進んだと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに述べたように、本年度は種数0の双曲的代数曲線に対するm次可解Grothendieck予想についての研究を行い、現状考えうる最善の結果を得ることに成功した。この証明の最も重要な点は本来想定していたm次可解cuspidalization理論を経由せずに、直接prime-to-p版の結果を得た点である。2年度目以降はこの研究をさらに推し進め、より高い種数の双曲的代数曲線に対しても同様の結果が得られるかを研究していく予定である。具体的には、本年度の結果で仮定した"ヤコビ多様体のpランクが0"という条件をより弱め、最終的にはすべての双曲的代数曲線に対して今年度の証明を拡張していく。この方針の明確な問題点としては代数曲線のSpecializationがヤコビ多様体のpランクと可換性を持たないというものがあるが、それについては今後の研究の中で解決策を模索していく予定である。 また、すでに述べたm次可解cuspidalization理論の今後の発展についておよびm次可解Grothendieck予想と結び目理論の関係についても個別に研究を行う予定である。特に、結び目とm次可解Grothendieck予想の関係は本研究にとどまらない価値のある観点であると考えている。具体的には、結び目の理論において素な結び目が結び目群から復元できるという現象が証明されており、それらは本研究が含まれる遠アーベル幾何学の内容と非常に強く関連している。したがって、結び目理論における素な結び目の復元という結果に対しても本研究と同様にm次可解化という現象が期待される。2年度目以降はこの方針も研究対象に含め、それへ向けて結び目の研究者との交流を深めていく予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)