Project/Area Number |
23KJ0898
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 27020:Chemical reaction and process system engineering-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
片岡 大志 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | DAC / 超臨界流体 / エアロゲル / 光熱変換 / CCUS / CO2吸着 |
Outline of Research at the Start |
カーボンニュートラル達成のため、大気中に含まれる微量のCO2を取り除くことが可能な「大気中CO2回収(DAC)プロセス」が注目されているが、DACプロセスの普及に向けて、エネルギー消費量の抜本的な削減が必要不可欠である。そこで本研究では、光の吸収によって発熱する「光熱変換材料」と高断熱性を有する吸着剤である「エアロゲル材料」の機能の融合を念頭においた光熱変換エアロゲルを創製し、太陽光の照射によってCO2を回収可能な新規プロセスの開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、光熱変換材料であるカーボンブラックと、高い断熱性を有しておりCO2を吸着可能なアミン修飾シリカエアロゲルを組み合わせた光熱変換エアロゲルを作製した。さらに400 ppm程度のCO2を含む空気を用いたCO2吸着実験、並びに光の照射による脱着実験を行い、光熱変換エアロゲルのCO2回収性能を評価した。 本研究ではまずゾルゲル法を用いることで、カーボンブラックを含有するアミン修飾シリカ湿潤ゲルを得た。その後、超臨界CO2乾燥法により、界面張力の発生を回避しつつ湿潤ゲル内の溶媒を除去し、多孔体である光熱変換エアロゲルを得た。 次に得られたエアロゲルに対してCO2を含む空気を流通させることでCO2の吸着実験を行った。その結果、光熱変換エアロゲルは、ゲル骨格表面に存在するアミノ基により化学的にCO2を吸着可能であることがわかった。さらに、CO2を吸着したエアロゲルに対して光を照射したところ、エアロゲルが発熱しCO2を脱着できることがわかった。その一方で、カーボンブラックを含まないエアロゲルに対して光を照射したところ、発熱及びCO2の脱着はほとんど生じないことが確認された。以上の結果より、エアロゲルに対してカーボンブラックを添加することで、光の照射によりCO2を脱着可能な光熱変換エアロゲルの作製に成功したと言える。 次に、光熱変換エアロゲルと、代表的なCO2吸着剤の一つであるアミン/フュームドシリカ吸着剤に対してカーボンブラックを添加した光熱変換アミン/フュームドシリカ吸着剤の脱着効率を比較した。その結果、光熱変換エアロゲルは2倍程度高い脱着効率を示すことがわかった。この結果から、エアロゲルのユニークな特性の一つである高い断熱性によって、エアロゲル内部で発生した熱を損失することなく、効率的にCO2の脱着に利用できたことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、カーボンブラックとエアロゲルの機能を融合することで、光の照射によってCO2を脱着可能な光熱変換エアロゲルの作製に成功した。さらにエアロゲルの有する高い断熱性が、光熱変換を利用したCO2脱着において有効であることも明らかとなった。以上のように、光の照射によって効率的にCO2を回収可能な光熱変換エアロゲルを用いることで、太陽光の照射によってCO2を回収可能な新規プロセスの開発が期待される。これらの研究成果についてはすでに論文にまとめ、本年度中に2報が受理されている。また本年度中に、国際・国内学会でそれぞれ2件のポスター発表と2件の口頭発表を行った。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、光熱変換エアロゲルの断熱性がCO2の脱着効率に対して大きく寄与することが明らかになっている。令和5年度ではさらに、エアロゲルの有する光透過性に着目することで、より高い効率を有する光熱変換エアロゲルの作製を目指す。具体的には、ゾルゲル反応時における反応時間、温度、仕込み比を最適化することで、照射された光を散乱することなく効率的に発熱およびCO2脱着に利用可能な光熱変換エアロゲルを作製する。加えて、エネルギー収支式や物質移動に関する式を活用することで、光照射下におけるエアロゲル内の温度分布、および脱着効率や脱着速度のシミュレーション方法を確立していく。
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