Project/Area Number |
23KJ0909
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平野 一郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 建築設備 / 吊りボルト / 低サイクル疲労性能 / 耐震設計 / 機能継続性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,天井等に設置されている空調用設備機器等の耐震支持に用いられる部材(吊り材や耐震金物など)の基本的な力学挙動および低サイクル疲労性能について把握することを目的とする.さらに,実際の地震時被害の原因を追究するために,設備機器と天井を中心とした非構造部材の接触・衝突・追従等に着目した相互作用について,構造実験および数値解析を通して明らかにする. 本研究の完成により,建物の機能中枢を担う設備機器の耐震性の評価が可能となり,従来の人命保護を目的とした耐震設計に加え,地震後の建物の継続使用を目的とした耐震設計が可能になることが期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
採用1年目である令和5年度は、[1]論文執筆、[2]要素実験を行った。 [1]論文執筆では、採用年度以前に実施した実大の構造実験の詳細なデータ分析を行い、論文として取りまとめた。具体的には、設備機器に用いられる吊り支持部材(吊りボルト、斜材、取付金物等で構成されるユニット)の繰返し載荷実験により得たデータを詳細に分析し、構築した力学モデルの妥当性を検証した上で、吊り支持部材の力学挙動(水平剛性、耐力、低サイクル疲労性能)を把握した。得られた研究成果は、国内の学会発表を通して報告した。今後は国際学会を通しても報告する予定である。なお、当初の計画では、吊り形式の設備機器の耐震性評価について取りまとめた後、アンカーボルトやインサートと呼ばれる埋込金物で支持された設備機器の耐震性評価に向けた構造実験を行う予定であったが、設備機器の耐震支持に用いられる部材(吊りボルトや取付金物等)が吊り支持部材としての水平剛性・耐力に大きな影響を与えていることが明らかになったため、当初の計画に追加する形で、[2]吊り支持部材に関する要素実験を実施した。設備機器の耐震支持に用いられる部材は多種多様で、その材料特性および曲げに対する断面特性は明らかになっていないことが実状であることを踏まえ、引張実験および曲げ実験を実施した。したがって、令和5年度は上記のデータ分析に加えて、設備機器の耐震設計法を確立する上で重要と思われる局所的な部分に焦点を当て、計100体以上の部材に関する要素実験を実施し、技術報告としてもまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用1年目である令和5年度は、査読付き学術論文への投稿を通して、申請者が採用以前から着手してきた研究成果を整理した。当該研究を通して、新たな課題も見つかり、採用以前には予定していなかった要素実験の実施・整理を通して、部材レベルで評価することの重要性を再確認した。したがって、本研究課題の最終的な目標である、「建築設備機器と天井・壁などの非構造部材の相互作用を踏まえた設備機器支持部材の耐震設計法の確立」に向けての基礎的なデータ収集は完了したと言える。採用2年目である令和6年度は、コンクリートに対してインサート金物で支持された設備機器支持部材の耐震性評価に向けた構造実験を行う予定で、着手できる状態にある。これらの成果に加え、簡易な数値解析を通して、設備機器支持部材の耐震性評価について取りまとめる。 上記の理由により、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
採用2年目である令和6年度は、[1]構造実験、[2]数値解析、[3]論文執筆を行う予定である。 [1]構造実験に関しては、設備機器の耐震支持として用いられるアンカーボルトの1種であるインサート金物の実験を行う。採用以前および採用1年目とは視点が少し異なり、設備機器支持部材がコンクリートと取り合うため、力学挙動や破壊形式および疲労性能に関して、既に実施した実験とは大きく異なる結果が得られると予測される。また、インサート金物の耐震性については未だ不明な点も数多く残されているため、新規性という観点からも実験により確認することは重要である。本研究の成果により、設備機器支持部材の耐震性について総合的に評価することが可能となる。 [2]数値解析に関しては、上記の実験で得られた結果を援用する形で実施する。建物に設備機器が取り付けられた、多質点モデルの構築を想定しており、地震応答解析を行うことで、設備機器支持部材の耐震設計法の確立を目指す。 [3]論文執筆に関しては、上記のコンクリートと取り合うインサート金物に関する実験結果およびそれに援用される形で数値解析を行った結果を論文に取りまとめる予定である。論文では、これまで検討してきた設備機器支持部材の力学挙動を踏まえて、建物の機能維持に関わる継続使用性について評価する。 [3]の研究成果は、国内および国外の学会において広く報告する予定である。
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