Analysis and development of the hierarchical model of the regional economy by coarse-grained firm activities using geographic information
Project/Area Number |
23KJ0921
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 25010:Social systems engineering-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小池 元 東京工業大学, 情報理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 非線形輸送 / 分岐現象 |
Outline of Research at the Start |
企業活動の観点からの地域経済の理解に向けて, 企業間取引による発注受注関係から構築された複雑ネットワークを利用して都道府県など自治体間の経済活動が分析され始めている. しかし, 企業活動は必ずしも自治体などの行政単位によらず, 適切な地域単位を利用することが実態把握のために重要である. そこで本研究では企業の本社位置に注目し, 企業間取引にみられる重力則から開発された重力相互作用モデルによる取引額を本社位置, 産業構成, 取引関係から作成した地域単位により集計して複数スケールでの地域経済モデルを提案・開発し, 重力則の指数の変化による経済的影響の推定などに向けた数理的基盤の構築を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は前期、後期とわけて次を行った。
2023年度前期には、2022年度までに本研究課題の構成要素である重力相互作用モデルの分岐・相転移現象に関して得られている3体のネットワークモチーフでの理論的結果について、解析的な結果を補強してまとめ、この結果に関して1本の論文執筆と国際学会2件を含む合計6件学会発表を行った。論文は2024年1月にPhysical Review Research 6.013059(2024)として出版された。さらに、実際の企業間取引ネットワーク上の分岐現象について、十分小さい散逸パラメータの時に非線形性パラメータが0.8付近でヒステリシスを示すことを観察し、さらに分岐によって売上高が急激に変化した企業が全体50万社程度のうちごく少数にとどまることを発見し、変化量上位0.1%の数百社からなる企業間取引ネットワークのモチーフ解析とあわせて上に述べたネットワークモチーフにおける理論的結果と企業間取引ネットワーク上の分岐の関連が示唆できた。また、これまでに判明している地域メッシュ単位での規模変数のスケーリング則やその指数の変化のほか、スケーリング則からのゆらぎの分布を観察した。
2023年度後期には、重力相互作用モデルの分岐現象に関連して固定点以外のこれまで知られていなかった周期解やカオス解という新たなタイプの解を2023年度前期に発見した。前期に行った3体のネットワークモチーフの解析に引き続き、4体や5体での分岐図を計算し、周期解が現れる最小ネットワークを同定してその分岐の種類を特定した。また、どのようなネットワーク上でカオス解が観察されるのかその詳細を調べた。これらの成果を2件の学会で報告した。現在、さらなる解析を進めつつ論文化を進めており、2024年度前期に国際学会1件で報告を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度前期には、重力相互作用モデルの分岐・相転移現象の理論的結果のまとめ、論文執筆、成果発表を行い、企業間取引ネットワークの部分ネットワーク上の有効モデルを求めるという目標を立てていた。実際に、目標どおり論文執筆と成果発表を行った。特に論文は2024年1月にPhysical Review Research 6.013059(2024)として掲載された。また、国際学会2件を含む4件で成果を発表した。また、有効モデルについても、企業間取引ネットワーク上のヒステリシスの観測結果から非線形性パラメータが0.8付近で起る分岐現象での売上高の急激な変化が起きるノード数がごくわずかであることを確かめ、全体のうち変化量が上位0.1%の400社程度からなる部分ネットワークでの分岐現象を調べてヒステリシスが起きることを確かめた。これにより、企業間取引ネットワーク全体で見られるヒステリシスが全体のごく一部のネットワークの性質で説明できる可能性が示唆された。
また、企業本社の空間分布と経済規模変数のスケーリング則とスケーリング線からのゆらぎの分布について、理論に基づく解析的な導出を目標としており、空間相関がない場合のスケーリング指数については理論から予想される数値と一致することを確かめた。
2023年度後期には経済圏域画定方法の解析および域内・域間の取引の集計を行うことを予定していたが、2023年度前期に重力相互作用モデルの理論として極めて重要かつ企業間取引にとどまらないネットワーク上の非線形輸送現象の発展性がある結果としてカオス解を発見したため、その詳細を解明することを優先して研究を進行し、3回の国内学会で成果発表した。また、本結果は2024年度前期に国際学会1件にて発表を予定している。そのため、経済圏域での取引集計についてのネットワークの粗視化の観点からの分析結果は現在途中段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、2023年度後期に重点的に調べた重力相互作用モデルのカオス的挙動についての論文を準備中である。また、2024年度全体を通して、企業間取引ネットワークのようなスケールフリーネットワーク上での重力相互作用モデルの振る舞いに関して分岐点および分岐現象の解析結果をまとめ論文とする予定である。
さらに、2024年度全体を通して、現在の博士課程における学位論文として以上の成果をまとめ、これまでに行われてきた企業間取引に関する研究のまとめとネットワーク上の非線形輸送現象に関する自身の業績内容を含む大学生向けの教科書を執筆する。その過程で重力相互作用モデルの基礎となる非線形相互作用についてのデータ解析手法のまとめや企業間取引ネットワークの形成過程として重要な優先的接続の直接観測およびモデル化について、現時点のデータを利用して再検討する。
現在準備中の論文の投稿を完了した後、2023年度前期に予定していた地域メッシュ単位でのスケーリング則の指数のスケール変化の企業の本社立地の空間相関からの説明、さらに2023年度後期に予定していたメッシュ単位での取引の集計を発展させた取引ネットワークの粗視化にとりかかる。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)