Project/Area Number |
23KJ0924
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 22040:Hydroengineering-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶山 青春 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | rainfall prediction / deep learning / flooding / water scarsity / seasonal forecast / dam operation / hydrological model / urban mask |
Outline of Research at the Start |
研究概要 数か月先までの長期の降水量予測は気象予測における最大の難問の1つである。例えば東南アジア地域では、長期的な降雨量が洪水被害や穀物収穫高の減少の最大の原因となる。しかし、現行の気象モデルの予測可能なリードタイムは1週間程度にとどまり、より長期の予測では精度が著しく低くなる課題を抱えている。この課題解決のため、本研究では気候ビッグデータと深層学習を用いて、気象モデルに代わる新たな予測モデルを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
CMIP6と呼ばれる気候ビッグデータを用いた深層学習モデルにより,6か月先までの降雨量予測を実施した.全球1度グリッドの空間解像度で,南緯60度から北緯60度の範囲が予測可能である.特にケーススタディとして北緯5-25度,東経90-110度の範囲で東南アジア域の雨季総降水量を予測し,従来の数値計算モデルによる降水予測の結果を上回る予測性能を示した.また,深層学習手法に用いる入力データの感度分析を行った.入力として,海面水温,土壌水分,陸面温度,積雪面積をそれぞれ異なる組み合わせで入力したところ,4変数すべてを用いた場合が最も予測精度が高くなった.一方で,単一の変数のみを入力に用いる場合は海面水温が最も高い精度を示し,海面水温のみを入力に用いる場合と,4変数すべてを用いる場合の予測性能の違いはわずかであった. 深層学習に予測は決定的予測手法であるため,確立的予測手法を開発した.降水量をその総量に沿って5つの降水量ラベルに分割することで,確立的な予測を可能にした.具体的には,深層学習モデル内の誤差関数にCategorical Cross Entropyを導入することで,各降水量ラベルがどれだけの確立で発生するかを示す,確立分布を予測できるようにモデルを改良した.その結果,確立分布に一定のパターンが現れる時に,深層学習モデルの予測はよく実測値と合致し,また別のパターンが現れる時に,深層学習による予測性能が著しく低下することが明らかとなった.このことから,降水量ラベルを使った深層学習モデルを用いることで,予測の信頼性を定量化することが可能であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,一年目に深層学習に必要となるデータセットの整備と,深層学習のモデルアーキテクチャーの構築を目標としていた.実際にはデータセットの整備が順調に進んだことにより,深層学習モデルへの入力と異なるモデル間での予測性能の違いを十分に検討することが可能となった.具体的には,計画していたCNNに加え,ResNetやTransformer,TimesNetなどの予測モデルを扱うことができた.これらを利用し,計画書に示した深層学習による予測性能と,既存の気象数値計算モデルでの計算結果を比較することが可能となった.加えて,入力変数として海洋の変数に加え陸面変数を扱うことで,陸域が季節的な降雨傾向にどのような影響を与えうるかを,構築した予測モデルを使って分析した.既往研究の多くは海洋変数のみから深層学習モデルを構築していたため,これらの成果は科学的に価値のあるものであると考える.分析の結果,陸域に比べて海域の影響が非常に大きく,土壌水分や積雪面積などの影響は限定的であることが明らかとなった.一方で,極端減少が発生する場合の予測精度に着目すると,その影響が統計的に優位に表れる場合があることが示唆される結果となった.おおむね順調と示した理由に関して,陸域影響評価の研究を現在まとめる段階にあり,論文出版に至っていないためである.
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Strategy for Future Research Activity |
既述の降雨予測研究に加えて,研究計画書で示した水文モデルへの統合実験を実施した.水文モデルとは,気象外力を入力データとして陸域の河川流量や地下水量,蒸発量を計算するモデルである.水文モデルに降水予測を入力することで,6か月先までの陸面水資源量をシミュレーションすることを可能とした.また,30分解像度で構築されている既存の水資源モデルを,都市スケールでの渇水を評価するため,5分解像度まで高解像度した.解像度を高めたことで,今後人口が集中し,水資源の不足が懸念される都市域というスケールでの水ストレス評価を可能とした.加えて,都市スケールでの水ストレス評価に必要となる都市域配水システムを推定するアルゴリズムを開発した.都市域では,浄水場から各家庭に配水が行われ,排水は下水場が代表して行い河川に再度水を返還する.この水システムを水文モデル上で再現しない限り,都市域での正しい水ストレス評価を行うことは難しい.この課題の解決にあたり,都市域・浄水場位置・下水場位置を,地理データと人口データを用いてすいてするアルゴリズムの開発を行った.現在世界1860都市でこのアルゴリズムが機能することを確認している.今後は開発した都市水システムをモデルに統合し,都市スケールでの水ストレスを予測するモデルを開発する.さらに,水文モデル内の内包されているダム操作モデルを利用して,数か月スケールでの洪水抑制ダム操作をモデル内で再現する実験を行う予定である.
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