Project/Area Number |
23KJ0949
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊谷 健太 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 安定解 / 分岐図 / 半線形楕円型方程式 / 正則性 / 優臨界 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「空間次元が9以下の場合、半線形楕円型方程式の安定解は正則である」という数十年に渡る未解決予想の解決を主題とする。本予想は反応項が凸関数の場合では解決されているが、一方で、反応項が非凸な場合においては、本予想の証明に必要となる先験的評価の導出と、安定解の近似手法の確立の、両者がいずれも困難な状況にある。 そこで本研究では、任意の反応項に対して適用可能な先験的評価を作成し、安定解の近似を経由せずに安定解の正則性を示す方法の確立でもって本予想を解決することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究計画段階では、次元が「3以上9以下」の場合に関して、「安定解」の正則性に研究対象を限っていた。しかし、領域を球に固定して考えれば、より解析が困難ゆえに未発達、かつ、とても興味深い対象である「2次元」や「10次元以上」の場合に関しても、解の精密な解析が期待できる。そこで、本研究課題の研究対象を2次元や10次元以上の場合にも拡張し、安定解の正則性だけでなく、分岐図の構造まで特定する研究を行った。その結果、以下の2つの成果が得られた。 1. 反応項を指数関数に固定して、滑らかな重み関数を加えた場合、重みの摂動が分岐構造にどう影響を及ぼすかを調べた。その結果、空間次元が3以上9以下の場合は重みに依存せず分岐構造は変化しないことが分かった(特に、安定解は常に正則である)。一方で、空間次元が10以上の場合、ある重みを境に、分岐図の折り返し点の数が0個から正の有限個に変化することが分かった。これは、ある重みを境に非正則な安定解が消えることを表している。この結果は、国際学術誌であるJournal of Differential Equationsに投稿しアクセプトされた。 2. 反応項を一般の優臨界な関数に固定して、空間2次元における分岐構造を調べた。反応項が指数関数の場合、空間2次元では、空間次元が3以上9以下の場合と完全に異なる分岐構造を持つことが知られている。しかし、反応項を優臨界に仮定すれば、空間2次元の場合は、空間次元が3以上9以下の場合と、とても似た分岐構造を持つことを示した。この結果は、空間次元が9以下の場合、分岐構造は空間次元に関わらず、非線形項の優臨界性のみから決定されることを表している。この結果は、arXivおよび、国際学術誌に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、「9次元以下」における「安定解」の正則性のみに問題を限定していた。しかし、10次元以上の場合や2次元の場合の方がより解析が困難で、知られていない現象が多い。そこで、領域を球に絞ることで、9次元と10次元以上の違いを明確に切り取る新しい現象を解明することに成功した。更に、今まで未発達であった優臨界非線形項を伴う2次元の分岐構造を明らかにすることに成功した。これは、当初より幅広い視点から、包括的に安定解や分岐構造を理解することに繋がるため、上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画に従い、アプリオリ評価の作成を行う予定である。領域に条件を課さず、それ以上反応項に関する条件を緩和することは困難であるため、領域に弱い条件を課した上で反応項の凸性を取り除くことを考える。また、2次元や10次元以上の研究に関しても、球領域に限らず、より一般の領域に関する研究を行う予定である。
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