Project/Area Number |
23KJ0984
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 26020:Inorganic materials and properties-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山野井 慶彦 横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 多孔質セラミックス / 光硬化性スラリー / エマルション / 表面設計 / 分散制御 / 三次元造形 |
Outline of Research at the Start |
任意形状部材を生産性良く製造できる期待から、多孔質セラミックスの3D造形技術が着目されている。しかし、長時間の脱脂焼成操作が必要であるうえ、気孔率85%以上の3D造形体は未達成である。さらに、成形体中における原料微粒子の積極的な配置制御により多孔質セラミックス造形体の機能を創出した事例もない。本研究では、少ない樹脂分でも光硬化可能なエマルションを用いた多孔質セラミックスの高速製造技術を対象に、原料微粒子のナノサイズ化による高気孔率化と、異種粒子の積極的な配置制御に基づいた機能創出に挑戦するとともに、三次元光造形法に展開することで、階層構造制御された高気孔率多孔質部材の高速製造法の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、「高気孔率多孔質セラミックスの外部立体構造と内部微構造(気孔率、複数種の原料粒子配置)の自在な階層制御」と、「粒子間光架橋反応を駆使した多孔体の高速製造」を両立した複雑形状多孔質材料の革新的製造プロセスを構築することを目的としている。 この目的を達成するため、2023年度では、申請者がこれまで独自に開発してきた「少ない樹脂分でも確実に光硬化可能な新規エマルションスラリーを用いた多孔質セラミックスの高速製造技術」を対象に、ナノ粒子を原料に用いた光硬化性エマルションスラリーの開発と、高気孔率多孔質シリカ部材の高速製造手法の構築に取り組んだ。 具体的には、3種類の粒子径の異なる球形シリカ粒子(220, 40, 13 nm)を原料として、粒子濃度の異なる光硬化性エマルションスラリーを設計した。原料微粒子のナノサイズ化により、モノマー重合体による粒子間架橋を形成するために必要な短い粒子表面間距離を保ったまま粒子体積分率を低減したことで、低濃度条件でも高い光硬化性を有するスラリーを実現した。本スラリーを用いたシリコーン鋳型中でのその場光固化成形により、水相を反映した気孔構造を有する複雑形状成形体が得られることを明らかにした。得られた光硬化体は、粒子径ごとに焼成温度を最適化することで試料の収縮を抑えたまま粒子間ネック形成させることが可能であり、従来手法より高速な昇温条件で脱脂・焼成操作で、90%以上の気孔率を有する多孔質シリカ焼成体を作製可能であった。 さらに、自在な外部立体構造の付与に向けて、低揮発性の溶媒を用いた時間安定性に優れる光硬化性スラリーを設計した。DLP(デジタルライトプロセッシング)方式の3Dプリント技術の活用により、鋳型では再現困難な複雑形状体を積層光造形でき、高速な昇温プロファイルで多孔質シリカ三次元構造体を焼成可能であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた、原料にナノ粒子を用いた低粒子濃度の光硬化性エマルションスラリーの設計、その場光固化法による多孔質シリカの複雑形状成形体の作製、90%以上の高気孔率を有する多孔質シリカ焼成体の高速製造プロセスの構築を達成している。 さらに、自在な外形付与に向けては、DLP方式の3Dプリンターを用いた積層光造形に展開するためのスラリー設計に成功しており、光硬化体内中における複数の原料微粒子の粒子配置制御に向けては、異種シリカ微粒子を混合した光硬化性エマルションスラリー設計のための予備的検討にも着手していることから、本研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
球形シリカ微粒子をモデル材料として、2023年度に構築したナノ粒子を用いた光硬化性エマルションスラリーの設計技術を活用しながら、粒子径の異なる複数の原料シリカ微粒子を同時添加した光硬化性エマルションスラリーを設計する。得られるエマルションの調製条件(粒子混合比、混合手順、混合速度、混合時間)が、スラリーの光硬化挙動や造形体の微構造、機械的特性、焼結挙動に及ぼす影響を理解する。エマルション調製条件設計により、光硬化体内中における微小原料微粒子の配置制御技術を構築する。得られた知見をもとに特異な構造設計を施した多孔質焼成体を作製し、その微構造が機械的特性、熱的特性に及ぼす影響を明らかにする。
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