ヴォルガ・カマ言語連合:コーパスに基づいた類似点・相違点の記述と通時的発展の解明
Project/Area Number |
23KJ1014
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菱山 湧人 新潟大学, 人文社会科学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | チュルク諸語 / ウラル語族 / 言語連合 / 言語接触 / 対照言語学 / コーパス |
Outline of Research at the Start |
ロシア中部のヴォルガ川とカマ川の合流域には、トルコ語の親戚であるチュルク系の諸言語(タタール語、バシキール語、チュヴァシ語)と、フィンランド語の親戚であるウラル系の諸言語(マリ語、ウドムルト語)が分布している。これらの系統を異にする言語は、一つの地域に密集していることから、互いに接触しながら類似の特徴を獲得してきた。よって、一つの言語連合「ヴォルガ・カマ言語連合」に属するとされる。本研究では、ヴォルガ・カマ言語連合に属する5言語の類似点・相違点をコーパス調査に基づいて詳細に記述し、それをもとにこれらの言語の通時的発展(相互接触によって現在の姿に至るまでの過程)を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヴォルガ・カマ言語連合に属する研究対象5言語(タタール語、バシキール語、チュヴァシ語、マリ語、ウドムルト語)のうち、特に重要な位置を占めるチュヴァシ語の研究が進み、初めてウドムルト語の研究を行うことができた。単独で行った学会発表5件はいずれもチュヴァシ語に関するものであり、それぞれのテーマは、1)条件副動詞の短形と長形の異同、2)不定形の短形と長形の異同、3)部分構造と定形動詞の一致、4)2つの可能表現の異同、5)形動詞+過去接語による願望形式、の5つであった。1)は加筆修正を行い、日本語論文を学会誌に投稿した。2)はドイツで行われたチュルク諸語に関する国際学会で英語で発表した。不定形は他の研究対象言語にも存在するため、この発表は今後の対照研究のための下地となった。他に、東京外国語大学AA研の共同研究員として参加した研究プロジェクトの成果論集に、チュヴァシ語の強調標識と情報構造の関係についての英語論文を投稿した。この論文も、類似の強調標識を持つ他の研究対象言語との対照研究への布石となった。加えて、当初の計画通り、ウドムルト語における所有接辞の出現頻度を調査し、受け入れ研究機関である新潟大学の紀要に英語論文を投稿した。この論文では、ウドムルト語における所有接辞の出現頻度に他の研究対象言語と共通の傾向(1人称複数標識の出現頻度が著しく低い傾向)が見られることを明らかにし、言語接触による影響の蓋然性が高いことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とはやや異なるものの、1)研究対象言語のうち特に重要な位置を占めるチュヴァシ語の研究が進み、初めてウドムルト語の研究を行うことができたこと、2)来年度以降の対照研究の下地となる研究が複数できたこと、が理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、1)今年度扱った不定形や強調標識について、チュヴァシ語以外の言語に関しても調査・考察を行うこと、2)今年度扱ったが発表できなかった後置詞について発表すること、3)今年度扱うことができなかった疑問標識を研究すること、4)当初の計画通り、受身形や形動詞、補助動詞など、動詞に関する研究を行うこと、を目標とする。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)