ウイルス由来エンハンサーから探る胚膜進化のゲノム基盤
Project/Area Number |
23KJ1055
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北尾 晃一 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 内在性レトロウイルス / 漿尿膜 / ニワトリ / ウズラ / ソメワケササクレヤモリ |
Outline of Research at the Start |
哺乳類の胎盤発生において、内在性ウイルスに由来するエンハンサーは重要な役割を担っている。本研究では、胎盤と相同である鳥類・爬虫類の漿尿膜においてウイルス由来エンハンサーを研究し、その進化を明らかにする。ゲノム・エピゲノム・トランスクリプトーム解析を組み合わせることで、ウイルス由来エンハンサーを特定し、その機能に重要な転写制御因子の同定を行う。また、ウイルス由来エンハンサーの機能を胚操作によって実験的に明らかにする。遺伝子ノックダウンや阻害剤を用いて、ウイルス由来エンハンサーの機能阻害が漿尿膜にどのような遺伝子発現や形態の変化をもたらすのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、卵生羊膜動物の漿尿膜における遺伝子発現制御への内在性レトロウイルスの寄与を調べることにより、胚体外膜進化のゲノム基盤を明らかにするものである。本年度は、ニワトリ、ウズラ、ソメワケササクレヤモリのトランスクリプトーム解析を行った。まず、異なるタイムポイントで漿尿膜からRNAを抽出し、NGSライブラリーを調整してRNA-seqデータを得た。ソメワケササクレヤモリでは、公共のトランスクリプトームデータが限られているため、漿尿膜特異的転写物を同定するために成体のオス・メス一匹ずつの主要組織からもRNAを抽出し、同様にRNA-seq解析に供した。 次に、ニワトリとウズラにおいて漿尿膜に特異的に発現する転写物の網羅的同定を行った。内在性レトロウイルスに着目すると、本研究の予備解析通り、ニワトリでは特定の内在性レトロウイルスの転写が漿尿膜特異的に上昇していた。さらに本年度に実施した解析により、ウズラでは異なる内在性レトロウイルスの発現が上昇すること、ニワトリとウズラの漿尿膜で発現が上昇する内在性レトロウイルスには同じ転写因子Aの結合サイトが見られることが新たに明らかとなった。さらに、漿尿膜で発現量が上昇する内在性レトロウイルスがニワトリ特異的な転写開始点として機能している宿主遺伝子が複数同定された。したがって、ニワトリ特異的内在性レトロウイルスが直接的に宿主遺伝子制御に関与していることが示唆された。ソメワケササクレヤモリについては、ゲノムアノテーションが鳥類ほど充実していないため、まずは本年度に得られたトランスクリプトームデータを用いて遺伝子予測や内在性レトロウイルスを含む反復配列のアノテーションを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニワトリとウズラにおいては、計画通りのRNA-seq解析を実施することができた。また、予備解析の結果を確認するとともに、複数のタイムポイントのサンプルやウズラのサンプルを追加することで、漿尿膜で発現する内在性レトロウイルスの発現動態と進化における新たな知見を得ることができた。一方、ソメワケササクレヤモリの漿尿膜のRNA-seqデータについては、一部クオリティが低く解析が難しいサンプルがあったため、再サンプリングおよび再解析を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、エピゲノム状態を調べる予定である。具体的には、漿尿膜で発現が上昇する内在性レトロウイルス配列がオープンクロマチンとなっているのか、プロモーターやエンハンサーに特徴的なヒストン修飾が見られるのか、転写因子Aが内在性レトロウイルス配列に結合しているのかをATAC-seqやCUT&RUNで調べる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)