高速進化分子創製法を活用した超高感度一分子ペプチドシーケンシング法の開発
Project/Area Number |
23KJ1129
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 37010:Bio-related chemistry
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅本 駿 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 一分子ペプチド配列決定 / 人工抗体 / TRAP提示法 |
Outline of Research at the Start |
タンパク質を対象とするプロテオーム解析手法は生物学研究や疾患診断などに欠かせない科学技術である。しかし、微量タンパク質を並列的に検出可能な超高感度一分子タンパク質シーケンシング法は未だ確立されていない。本研究では、N末端アミノ酸残基に特異的に結合する人工抗体・全反射蛍光顕微鏡を用いた一分子検出・深層学習を組み合わせることで、ペプチドを一分子レベルで並列的にシーケンシングできる手法を開発することを目的とする。本研究の成果によって、生命現象の更なる解明や疾患の早期診断などに貢献することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、N末端アミノ酸残基に特異的に結合する人工抗体・全反射蛍光顕微鏡を用いた一分子検出・深層学習を組み合わせることで、ペプチドを一分子レベルで並列的にシーケンシングできる手法を開発することを目的としている。研究計画の第一段階として、高速進化分子創製法であるTRAP提示法を用い、10の13乗種類の多様性を持つ人工抗体ライブラリから、20種類の各mePITC 標識N末端アミノ酸残基に特異的に結合する計20種類の人工抗体を選択する予定である。今年度は、そのために必要な二つの研究を実施した。 一つは、TRAP 提示法の改良である。TRAP 提示法では、調製されたライブラリの多様性が大きいほどより優れた特性を持つ進化分子を選択できる可能性が高くなる。本研究の計画のうち最も困難であると予想される人工抗体選択実験の成功確率を大きく向上させるために、私はTRAP 提示法で創出されるライブラリの多様性を向上させた。今年度は、この研究成果をまとめ、国際誌に投稿した(8月に公開済)。 もう一つは、人工抗体選択実験で用いる標的ペプチドの合成である。人工抗体選択実験における課題として、N末端1残基目の標的アミノ酸だけでなく、2残基目のアミノ酸も認識して結合してしまうような人工抗体が選択されてくる可能性が高い。それを回避するため、選択実験に用いる標的ペプチドの配列はH2N-XZGGGG-biotin [X:通常のアミノ酸20種類あるいは翻訳後修飾アミノ酸11種類のいずれか。Z:Ala, Glu, Pheのいずれか。]とし、選択実験各ラウンドでZの異なる3種類のペプチドを順番に使用することで、2残基目も認識する人工抗体が選択されないような工夫を施すことにした。今年度は、その標的ペプチド93種類(31種類×3種類)を合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階では、採用一年目で標的ペプチドを合成し、高速進化分子創製法であるTRAP提示法を用いた人工抗体選択実験に取り掛かる予定であった。しかし、今年度の進捗状況としては、標的ペプチドの合成が完了した一方で、選択実験に取り掛かることはできなかった。それにも関わらず「(2) おおむね順調に進展している。」と自己評価したのは、後述する2つの計画変更によって標的ペプチドの合成に期間を要してしまったためである。 一つ目は、強く結合する人工抗体を取得する対象のN末端アミノ酸として、新たに翻訳後修飾アミノ酸11種類を加えたことである。当初予定していた通常のアミノ酸20種類だけでなく、翻訳後修飾アミノ酸に対する人工抗体も創製することで、翻訳後修飾の機能解明にとって重要な科学技術になるのではないかと期待したためである。 二つ目は、N末端1残基目の標的アミノ酸だけでなく、2残基目のアミノ酸も2種類(計3種類)追加したことである。人工抗体選択実験における課題として、N末端1残基目の標的アミノ酸だけでなく、2残基目のアミノ酸も認識して結合してしまうような人工抗体が選択されてくる可能性が高い。それを回避するために、N末端にXZ [X:通常のアミノ酸20種類あるいは翻訳後修飾アミノ酸11種類のいずれか。Z:Ala, Glu, Pheのいずれか。]のアミノ酸配列をもつペプチドを合成し、選択実験の各ラウンドでZの異なる3種類のペプチドを順番に使用することで、2残基目も認識する人工抗体が選択されないような工夫を施すことにした。 これらにより、合成するペプチドの種類数が計93種類[(20+11種類)×3種類]に増えてしまったが、その分技術開発に成功した際のインパクトは大きいため、評価区分を(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究によって、標的ペプチド93種類(31種類×3種類)の合成が成功しN末端アミノ酸に対する人工抗体選択実験が可能となった。そのため、来年度からは標的ペプチドを磁気ビーズに固定化し、高速進化分子創製法であるTRAP提示法を用いることで、10の13乗種類の多様性を持つ人工抗体ライブラリから、31種類の各mePITC 標識N末端アミノ酸残基に特異的に結合する計31種類の人工抗体を創製する予定である。 その後、ガラス基板上に固定化したペプチドに、蛍光標識人工抗体を結合させ、全反射型蛍光顕微鏡(TIRF)を用いて一分子レベルで検出する手法を検討する。具体的には、光退色しにくい蛍光物質の検討、蛍光標識人工抗体がガラス基板表面に対して非特異的に吸着することを抑制するための条件検討、標的ペプチドの固定化法の検討などを行う予定である。研究費は、人工抗体の蛍光標識に使用する蛍光物質や、ガラス基板表面に対する非特異的吸着を抑制するための基板修飾用試薬、標的ペプチドを固定化するのに使用する試薬を購入する予定である。さらに、TIRFで撮影したデータの解析に必須となるデータ解析用PC関連機器やソフトウェアも購入する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)