Project/Area Number |
23KJ1133
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 22020:Structure engineering and earthquake engineering-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高荒 圭佑 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | トポロジー最適化 / 非定常問題 / 熱・流体問題 |
Outline of Research at the Start |
多様な伝熱機器の設計では,製品の適切な形状をもって乱流および熱輸送現象を制御することが性能向上の鍵となる.そこで本研究では,乱流を前提とした熱-流体トポロジー最適設計手法を開発し,スーパーコンピュータを駆使した大規模最適化計算を行う.時空間解像度の高い数値解析を行うことで,乱流現象の物理をより正確に反映した最適化が可能となるほか,より多くの設計自由度で解探索が可能となる.解析時間,レイノルズ数,境界条件などを変えた様々な条件の下で最適化計算を行い,乱流の熱伝達・熱輸送促進効果が熱交換効率および最適形状にどのように影響するのかについて,層流を前提とした既往研究との比較検証をもって明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
多様な産業分野で用いられる各種熱交換器の設計においては,その適切な形状をもって熱および流体の流れを制御することが性能向上の鍵となっている.そこで本研究の目的は,トポロジー最適化を駆使して所与の制約条件のもとで所望の熱交換性能を実現する構造の創生方法を構築するというものである. 当該年度は,非定常熱・流体問題を考慮したトポロジー最適化手法の開発した.本手法を,非定常強制対流場および自然対流場における熱源の温度上昇を抑制するための設計問題に適用した.これまでに提案されている熱・流体問題に対するトポロジー最適化手法は,定常状態を前提とするものが主流であった.しかしながら,熱や流体の流入条件が時間変化する場合の設計問題などでは,非定常性を考慮することが求められる.さらに,定常を前提としたソルバでは,定常解が存在しないことに起因して安定的に流体解析が行えない場合もあり,扱うことのできる問題が限定的になるという課題が知られている.これに対し,本手法は非定常状態を前提としたものであり上記の課題を解決するものである.これらの計算は規模の大きなものとなるため,MPI 並列計算技法を実装した上で,計算機としてスーパーコンピュータ「不老」を活用している.また,数値検証を行う中で,問題設定の複雑性と目的関数の非凸性に起因して,力学的に妥当なトポロジーが最適化計算によって必ずしも得られないという課題も明らかになった.この課題は特に高レイノルズ数領域において顕著となる.これに関しては,最適化アルゴリズムの変更を視野に入れて改善に取り組む必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非定常熱・流体問題を考慮したトポロジー最適化手法の構築は概ね完了している.これまでに開発したプログラムを用いて,境界条件や目的関数を変更した様々な条件で最適化計算を実行し,得られる構造に関して力学的な考察を行ってきた.層流を対象とした数値検証では,概ね力学的に合理的な構造が得られることを確認した.一方で,レイノルズ数を上昇させていくと,問題設定の複雑性と目的関数の非凸性に起因して,所望の性能を発揮するトポロジーが必ずしも得られないという課題も明らかになった.それゆえに,開発したトポロジー最適化のフレームワークを,高レイノルズ数流れを前提としたトポロジー最適化に直接用いることは困難であることが明らかになった.これに関しては,最適化アルゴリズムの変更や改良の必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を変更し,高効率な熱交換器構造を設計するための新しいアプローチとして,マルチスケールトポロジー最適化手法に基づいた設計手法の開発に着手している.マルチスケールトポロジー最適化は,構造物を構成する微視的構造(ミクロ構造)を合理的に設計することで,所望の性能を発揮させる設計手法である.ここでは,熱交換用のラティス構造や多孔質構造を対象として,これらの設計にマルチスケールトポロジー最適化手法を導入する.近年,ラティス構造や多孔質構造は,単位体積あたりの放熱面積が大きく確保できることから,効果的な熱交換器に有用であると期待されている.また,3D printerなどの製造技術が発展し,トポロジー最適化結果にしばしば見られる複雑な構造物の製造が現実のものとなりつつある.このような背景を踏まえ,熱・流体問題に対するマルチスケールトポロジー最適化手法の構築を目指す.ところで,マルチスケールトポロジー最適化は均質化理論に基づいており,ミクロ領域上で定義されるミクロ境界値問題を解く必要がある.ミクロ境界値問題の数値解法として,従来は有限要素法 (Finite Element Method: FEM) を用いるのが主流であった.これに対して本研究では,ミクロ境界値問題の効率的な数値解法として高速フーリエ変換 (Fast Fourier Transform: FFT) に基づく数値解法を導入する.FFT および FEM に基づく数値解法の計算効率(メモリ使用量および計算時間)を比較した先行研究によると,FEM に比べて FFT に基づく数値解法の優位性が示されている.さらに,高解像度のミクロ構造を前提としてトポロジー最適化を行うことで,低解像度の場合と比較してより優れたトポロジーが導かれることも示されている.これらの結果に着目し,本研究は FFT に基づく均質化アルゴリズムを採用する.
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