Project/Area Number |
23KJ1139
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
川井 孔貴 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 脱フッ素化反応 / フルオロアルコキシ化反応 |
Outline of Research at the Start |
近年,遷移金属触媒を用いて異なるハロゲン化物(ヨウ化物,臭化物,塩化物)をクロスカップリングさせる還元的クロスカップリング反応が注目されている。ハロゲン化物の中でもフッ素を含むフッ化物は,多くの医薬品や農薬へ用いられており多様なフッ素化合物が合成されているが,フッ素が炭素と形成する結合(炭素フッ素結合)は炭素が作り得る結合の中で最強の結合であり,フッ化物を用いた還元的クロスカップリング反応は非常に困難である。そこで本研究では特殊な反応性を示すケイ素,ホウ素化合物と遷移金属触媒を組み合わせることで,フッ化物を用いた新規還元的クロスカップリング反応の開発に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属触媒,ホウ素化合物を用いた芳香族フッ素化合物とハロゲン化物とのクロスカップリング反応を検討した。この遷移金属触媒を用いる系では,炭素フッ素結合の切断が進行することが明らかになったものの,脱フッ素-ケイ素化反応ないしは脱フッ素-ホウ素化反応が優先的に進行し,目的のクロスカップリング体を与える条件は見いだせていない。また,大きな反応熱が生じるなど,反応制御が課題である。そこで研究計画に基づき遷移金属触媒を用いない系での,ハロゲン原子移動を伴ったラジカルクロスカップリング反応も視野にいれ,検討を進めている。 また,当研究室では最近,芳香族フッ素化合物とアミンや炭化水素化合物とのクロスカップリング反応を報告している。この反応では,系中で生じたケイ素ラジカルがアミンや炭化水素の水素を引き抜き,生じたラジカル種がフッ素化合物とフッ素の脱離を伴いながら反応することでクロスカップリングが進行する。そこで,現在研究計画に基づき水素原子移動反応を応用した,炭素-フッ素結合官能基化反応の検討も進めている。 さらに,計画の脱フッ素-フッ素官能基化反応を志向した検討の中で,新たなフッ素官能基化試薬としてフルオロアルコキシ化試薬の開発に成功した。フルオロアルコキシ化反応はフッ素化反応,トリフルオロメチル化反応と比べ報告例が少ないフッ素官能基化反応である。現在,この試薬を用いたフルオロアルコキシ化反応と,脱フッ素-フルオロアルコキシ化反応の検討も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遷移金属触媒,ホウ素化合物を用いた芳香族フッ素化合物とハロゲン化物とのクロスカップリング反応を検討した。種々の遷移金属触媒を検討し,炭素フッ素結合の切断が進行することを明らかにした。一方で,この系では脱フッ素ケイ素化ないしは脱フッ素ホウ素化が優先的に進行し,目的のクロスカップリング反応を進行させる条件は見いだせていない。 研究計画の脱フッ素-フッ素官能基化反応を志向した検討も進めている。脱フッ素フッ素官能基化反応を志向した検討のなかで,新たなフッ素官能基化試薬としてフルオロアルコキシ化試薬の開発に成功した。現在,この試薬を用いた脱フッ素-フルオロアルコキシ化反応および,新しいフルオロアルコキシ化反応の検討も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き遷移金属触媒を用いる系での脱フッ素クロスカップリング反応を検討する。副反応の脱フッ素-ケイ素化反応,脱フッ素-ホウ素化反応が顕著であることから,系中で生じたシリルラジカルによるハロゲン引き抜きが想定通り進行していないことが考えられる。そこで量論量の有機金属種との反応を検討し反応の詳細を明らかにする。また,遷移金属触媒を用いずに,ハロゲン原子移動もしくは水素原子移動を駆動力とする脱フッ素官能基化反応を検討する。 さらに,新たに開発したフルオロアルコキシ化試薬を用いた反応開発を行う。フルオロアルコキシ化反応はフッ素化反応やトリフルオロメチル化反応と比べて報告例は少ない。新しく開発したフルオロアルコキシ化試薬を用いてその反応性を評価し,脱フッ素-フルオロアルコキシ化反応の開発へつなげる。
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