炭疽病菌に対するウリ科作物の品種特異的抵抗性の分子機構解明
Project/Area Number |
23KJ1148
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 宏樹 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ウリ類炭疽病菌 / キュウリ / レース分化 / 抵抗性遺伝子 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ウリ類炭疽病菌とウリ科作物の品種特異的抵抗性の分子背景と進化動態を解明するために、以下の取り組みを行う。まず、比較ゲノム解析とRNA-seqを組み合わせて、スイカの抵抗性遺伝子に関与するウリ類炭疽病菌の非病原力遺伝子を同定する。当該遺伝子のタンパク質間相互作用および、非病原力遺伝子産物が本来有する植物免疫抑制機能についても明らかにする。次に、逆遺伝学解析が容易なキュウリを用いて、抵抗性遺伝子座の原因遺伝子をVirus induced gene silencing法や形質転換を用いて同定し、その機能を証明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ウリ類炭疽病菌に対する品種特異的抵抗性の分子機構解明を目指し、スイカに対応したレースを説明する非病原力遺伝子(avrAr-1)およびキュウリのレース0抵抗性遺伝子の同定を行う。令和5年度は、(1)スイカに対応するウリ類炭疽病菌レース1および2の単離株の比較ゲノム解析と、(2)キュウリ系統・晩黄瓜のレース0抵抗性遺伝子座An5のマッピング、(3)晩黄瓜のリシーケンス解析を行った。具体的な研究内容とその成果は次のとおりである。 (1)avrAr-1を保有する株(レース1)のde novo assemblyとその遺伝子予測に基づき、レース1,2に分類されるウリ類炭疽病菌13株のリシーケンスデータおよび感染後24時間後のRNAseqデータを用いて、レース1特異的な遺伝子を探索した。ゲノムワイド関連解析およびKmer解析を行ったが、全ての菌株でレース分化を説明する多型を持つ遺伝子は見出されなかったものの、13株のうち部分的なレースの違いを説明する多型を持つ遺伝子が188個見出された。そのうち、発現量が高い39遺伝子をavrAr-1候補として選抜した。 (2) 晩黄瓜はQTL解析によって、レース0に対する優性抵抗性遺伝子座An5を保有することが明らかになっている。連続戻し交雑により、An5を罹病性キュウリ系統に導入する過程でファインマッピングを行った結果、An5は第五染色体上の約222kbp領域に限定された。原因遺伝子の座乗領域をさらに限定するため、追加で9つのCAPSマーカーを当該領域に設計し、BC6F2世代で組換え個体の選抜を行った。 (3)晩黄瓜と罹病性系統のリシーケンスを行い、An5領域に座乗する遺伝子について、多型検出を行った。その中で、晩黄瓜と罹病性系統間で多型をもつ15遺伝子を原因遺伝子候補として選抜した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
avrAr-1の候補遺伝子選抜では、供試した13株のレース分化を全て説明する多型および遺伝子発現量の差が見出せることを想定していた。そこで、ゲノムワイド関連解析に加えて、Kmer解析など新規の解析パイプラインを整備したが、該当する多型は見出せなかった。これにより、候補遺伝子の選定に時間を要してしまった。また、An5については、領域に座乗する受容体様遺伝子を探索し、候補遺伝子とする予定であったが、当該領域には受容体様遺伝子は見出せなかった。これにより、連続戻し交雑集団によるファインマッピングに時間を要し、当初の計画にあった逆遺伝学解析に辿り着くことができなかった。以上の点から、本課題の現在までの達成度を「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は(1)候補遺伝子について、レース1株背景で遺伝子ノックアウト株の作出を進めるとともに、(2)マーカーで選抜したBC6F2世代の自殖種子から後代検定を行い、An5原因遺伝子のマップベースクローニングを進める予定である。また、BC6F2世代でAn5領域が全て晩黄瓜背景の系統を選抜済みであり、これを自殖し得られるAn5の準同質遺伝子導入系統を使用して(3)の候補遺伝子をリンゴ小球ウイルスによるサイレンシング を行い、候補遺伝子の絞り込みを進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)