Emergent spacetime based on quantum correlations and measurements
Project/Area Number |
23KJ1154
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 崇人 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 量子重力 / 量子情報 / ホログラフィー原理 / ブレーンワールド / エンタングルメント / 因果律 / 量子暗号 |
Outline of Research at the Start |
一般相対性理論を超えた量子的な時空の創発は未だ完全に理解されていない。本研究では、ホログラフィー原理やその拡張の量子相関を調べることで、時空の創発の一般論を探る。近年、エンタングルメントが特に注目されているが、本研究ではそれに限らず測定による量子相関などを調べる。また、共形場理論や相互作用する場の理論、テンソルネットワークなどの様々なアプローチで調べることにより、時空の創発の条件を解明していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、宇宙の成り立ちやブラックホールの性質を理解する上で重要な、量子系とそこから創発する時空の関係について調べている。特に、量子情報を用いた新たな手法が、時空を創発するホログラフィー原理の一般化の静的・動的な性質の両面を明らかにできることを示した。 2023年度(令和5年度)の主な成果は、創発時空をもつホログラフィック量子系の量子相関構造と因果構造に対する整合的な説明を与えた研究である。具体的には、量子暗号タスクから情報論的に示される連結ウェッジ定理を用い、創発時空の境界に誘導される因果構造の概念を提唱し、それが劣加法性といった量子論の性質と整合することを示した。さらに、みかけ上の因果律の破れの状態準備としての情報論的な解釈や、テンソルネットワーク模型の提案など、分野融合的な研究を推し進めた。この研究により、これまで考えられてきた漸近的AdS時空の漸近境界と比べて、一般的な形の境界へ拡張した際の量子系の性質が明確になった。本手法は、模型の詳細によらないため、より広範なモデルの相関・因果構造の絡み合いを明らかにするのに有用だと考えられる。本研究は国際共同研究の一環として進められ、カナダのPerimeter研究所滞在中に得られた成果である。研究成果はIt from Qubit等の国際研究会や学術雑誌で発表された。 今後の研究計画では、この枠組みをさらに発展させることで、現実の宇宙に近いde Sitter時空のホログラフィー原理そのものの検証を行う予定である。さらに今年度後半には、量子情報論的に量子重力の非摂動効果を扱う新手法の研究も加速させており、次年度以降の発展が期待される。そのほか、ERCとの海外渡航支援事業の一環として、ゲント大学にも滞在し、低次元量子重力への知見を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AdS時空における連結ウェッジ定理を一般的な境界へと拡張した点は、以前に報告された手法の適用であり、その手法自体の発展性は限定的である。しかし、既存のホログラフィー原理の量子相関構造の検証のみならず、未知の一般的な境界に対するホログラフィー原理の因果構造に制限や示唆を与えられることを示した点は重要だと考えている。そのほか、準備中の論文1本を除き、投稿できた論文は1本に留まっているため、今後は出版のペースを加速させる必要があると考えている。しかし、量子重力の非摂動的側面の情報論的側面の研究などは非常に進んでおり、研究自体は順調に進んでいる。加えて、複数の国際共同研究を開始し、多くの研究会で成果を発表することができた点は、今後の発展に期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に漸近的AdS時空中のブレーンワールドでの因果構造の知見を得たので、それを踏まえてde Sitter時空など異なる時空への応用を低次元重力やブレーンワールドによる実現、double-scaled Sachdev-Ye-Kitaev模型など様々な観点から取り組む。また、本年度中に出版できなかった研究について、早期の出版を目指し、新たな国際共同研究や分野横断研究に取り組む体制を整える。2024年度(令和6年度)夏には学部生との共同研究プロジェクトも計画しており、数値計算なども用いてグループで強力に研究を推進していく。それにより次世代の研究者も巻き込みながら、新手法の開拓に取り組む。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)