Project/Area Number |
23KJ1156
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大平 理紗 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 楽器図像 |
Outline of Research at the Start |
仏教施設や墓室空間にあらわされた音楽図像を体系的に整理することで、とくに仏教の布教との関連性に着目しながら、楽器や音楽の伝播と、それに対する在来の音楽や楽器の変化を明らかにする。その上で、魏晋南北朝隋唐における民族移動や仏教文化の隆盛によって中国古来の文化や制度、とくに礼制や楽制がどう展開し再編されたかを再検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度となる2023年度は、中国国内から出土した遺物や遺跡の楽器図像や形象をあらわす資料の集成を進めつつ、特に仏説話図中にあらわれる楽器などについては、各図像の典拠についての既往の研究を含め情報を整理した。 さらに、受入研究機関(京大人文所)の所蔵するイラン・アフガニスタン調査時の現地購入資料に接する機会を得たことで、当初の計画にはなかった西アジアの楽器図像にも目を向け、特にペルシアのササン朝期における楽器図像の集成を開始し、またそれらの図像を表したササン朝期からイスラーム王朝期に属する考古遺物に着目する必要性と、それによる研究の発展の可能性を想定し、いわゆるササンガラスや、金属容器研究について現状における論点を整理した。 また、2021年より整理と分析を進めていた山西省大同の雲岡石窟に彫られた楽器図像に関して、「雲岡石窟にあらわされた楽器について」として受入研究機関の共同研究班の成果報告書籍(稲本泰生ほか編『「見える」ものや「見えない」ものをあらわす 東アジアの思想・文物・藝術』勉誠社、2024年)において公表の機会を得ることができた。 図像資料の分析、特に年代の比定という手続きにおいては、遺跡に付随する図像のみでなく、出土したその他の考古遺物を分析・参照して検証する必要があり、特に墓に付随する資料については、従前から研究をおこなっている陶俑が有効な手がかりとなる。2022年から京都大学総合博物館所蔵の唐代の俑を調査し、取得した三次元データを比較することで考古学的分析の可能性を探っていたが、調査後に各所で成果を発表するなかで得られたフィードバックを反映したのち、今年度にその成果を公表できる運びとなった(「3Dデータを用いた陶俑の同型品抽出-京都大学総合博物館所蔵初唐俑の分析から-」『横浜ユーラシア文化館紀要』第12号、2024年)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
元々のスケジュールでは中国の仏教遺跡にあらわされた楽器図像の悉皆的な集成と、漢代~魏晋十六国時代の俑のほか、墓室壁画や葬具にあらわされた楽器図像、戦国・秦漢墓の出土楽器についても集成する計画であった。しかし、新たに当初の計画範囲である中央アジアより西方の古代イランをも範疇に含めることとし、ササン朝期の音楽図像に関する研究状況の把握と集成に取り組んだため、中国出土資料の集成については予定より遅れている。しかし、遅延部分は新たな取り組みによって相殺されたため、おおむね順調に進展しているといえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降はドイツ隊の調査によるキジル石窟図像の分析を核として、中央アジアから中原の仏教遺跡を中心とした音楽図像の分析を計画していたが、諸般の事情により2年目以降に滞在を予定していた研究機関に拠点を置いての活動が困難となった。そのため、中央アジア以西のペルシャ帝国までを視野に入れ、ペルシャ-ガンダーラ-中央アジア-中国という、シルクロードを通じた音楽の伝播へテーマを広げ、仏教遺跡資料とその対比としての墓出土資料に限らず、シルクロードの物流を介在した音楽の流伝という視点から考察することとする。
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