Project/Area Number |
23KJ1172
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
打本 和音 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 弥勒信仰 / 下生信仰 / 民衆運動 / 北魏 / 北斉 |
Outline of Research at the Start |
弥勒下生を期待する民衆運動の例はアジア各地で報告されており、ゆえに弥勒は「仏教界のメシア」とも呼ばれてきた。ただし多様な活動の共通点が注目を集めがちであったこと、運動発生の背景が正統経典を中心に説明されてきたことで、各活動の個性が曖昧になってきた点には注意が必要である。弥勒をめぐる民衆運動の背景には個別の複合要因が想定でき、その要因は正統経典の理解の範疇にあるとは限らない。 中国北魏期の弥勒関連の民衆運動は、河北・山東の地と親和性が高い。同時期の山西・河南で西側世界の影響色濃い弥勒造像が制作された状況とも比較しつつ、弥勒下生信仰の受容の様相を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、弥勒信仰の初期相の解明に向けて、弥勒信仰のなかでもいわゆる「下生信仰」の形成・受容の初期の実態を明らかにすることにある。そのために、豊富な関連経典の研究により構築されてきた従来の下生信仰史の批判的検証をおこなうとともに、下生信仰の具体的なアクションのひとつとして認識されてきた、弥勒下生を旗印とする民衆運動の発生背景を検証する。 本研究の遂行にむけて、初年度である2023年度は、従来の下生信仰のイメージ形成に寄与してきた先行研究の収集・整理、ならびに関連資料の収集・読解を中心に行った。あわせて、北魏期を中心とする民衆運動に関する資料の収集・整理を行った。なお、各種資料読解にあたっては、中国仏教史を専門とする佐藤智水氏(京都大学非常勤講師)の協力を得て、氏との月2回の定期的なミーティングを通じて知見を深めた。 また、北魏から北斉期にかけての弥勒受容の一端を明らかにすることを目的に、関連する美術資料・碑文資料の収集・整理も並行して行った。ただし、初年度に予定していた、考古美術資料の実見を目的とする海外調査は、社会的状況等の影響で遂行することができなかった。したがって、最終年度に予定していた国内調査の一部を先行して行うことで、北魏-北斉仏を中心とする熟覧調査を進めた。 こうした資料整理を進める中で浮かび上がった新たなトピックとして、弥勒下生と関わり深い摩訶迦葉の事績についても調査を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会情勢等の影響により、当初予定していた海外調査を実施できなかったことから、研究の基礎となる資料集作成に遅れが生じたため。 したがって、研究計画の見直しを行い、現段階で手に入る資料(公刊図録等)からの関連する図像資料の収集と整理を優先的に行うこととした。また、中国の民衆運動に関する関連文献の収集・整理を進めた。本年度の成果については、2024年度に論文のかたちで公開される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、北魏から北斉を中心に、弥勒下生と関わる言説を伴う民衆運動について文献資料の収集・読解を継続する。あわせて、弥勒下生とかかわりを持つ碑文資料ならびに考古美術資料の収集・分析をすすめる。また、次年度以降も関連分野の研究会やシンポジウムなどに積極的に出席し、隣接分野の研究者との議論や情報収集に努めたい。
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