Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Outline of Research at the Start |
Pre-schisanartanin A (1) は連続する多数の不斉中心, 高度に酸化された7員環構造, 3員環の主鎖置換基が全て同一面に位置している歪んだ「全シス置換シクロプロパン構造」といった複雑な構造をもつトリテルペノイドであり, 抗HIV活性を示す. しかも, 1の全合成報告はない. 本研究では、1の全合成経路の確立と, 合成中間体の誘導化を基盤としたより高活性な抗HIV活性アナログの創製を目指す.
|
Outline of Annual Research Achievements |
Pre-schisanartanin A (1) は2007年に朝鮮五味子より単離されたトリテルペノイドであり, 抗HIV活性が報告されている (EC50 = 13.81 μg/mL). 天然物1はシクロプロパンの全ての主鎖置換基が同一面に位置している全シス置換シクロプロパン構造や, 高度に酸化された7員環などの新奇な構造をもつが, 1の全合成は未だなされていない. 本研究では, 高度に酸化された7員環をもつ左側フラグメントと, 全シス置換シクロプロパン構造をもつ右側フラグメントの薗頭カップリング反応による連結を鍵とした経路での1の不斉全合成を目指した. 左側フラグメントについては、すでにD-リボースを出発物質とした25段階の経路でその合成を達成している. そして2023年度は、右側フラグメントの合成を目指し, 既知の光学活性なラクトンを出発物質として, アミドを配向基とする根岸カップリング反応を鍵とする17段階の経路でその合成を達成した. 続いて, 合成した2つのフラグメントの薗頭カップリング反応による連結を検討したが, 左側フラグメントの4置換オレフィンをもつエノールトリフラートの反応性が低いことや, 右側フラグメントのビニルシクロプロパン構造の不安定性からその連結は困難であった. リチウムアセチリドのケトンへの求核付加反応や、アルドール反応を用いた連結も検討したが, 収率が低く再現性も得られなかった. これらの結果を受け, 左側フラグメントの反応性を向上させるため, 3置換オレフィンをもつエノールトリフラートを用いた薗頭カップリング反応を試みた. D-リボースから12工程で合成したエノールトリフラートと, 右側フラグメントを用いた薗頭カップリング反応は円滑に進行し, 連結体を収率91%で与えた. この連結体の誘導化により, 1の全合成が達成されるものと期待できる.
|