Project/Area Number |
23KJ1196
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 凌 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 無限次元Teichmüller空間 / 擬等角写像論 / Bers境界 / David写像 |
Outline of Research at the Start |
本研究は, Riemann面の上の複素構造を変形することを通して, その性質を解明するものである. まず, Riemann面とは, なめらかな曲面のことである. 例えば, 人の顔は, その一つであり, Riemann面の研究は顔認証などにも応用されている. 特に, 無限型Riemann面の研究を中心的に行う. これにより, 古くから知られている有限型Riemann面に対する理論をより詳細に解明することを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
無限型Riemann面のBers境界に存在する, 今まで構成されていなかった新しい退化現象を構成することができた. これは, 擬等角写像の一般化である, David写像を用いてKlein群の変形に用いた. 実際, 有限型Riemann面では, Bers境界に存在するKlein群に対応するRiemann面は, 位相的に退化したRiemann面(または何らかの意味での"object")しか存在しない. 一方で, 無限型の場合, David写像による変形の中で, Bers境界に含まれるものを構成できた. これを, David-Fuchsian b群と名づけた. またこの退化現象の存在から, Bers境界には, 無限次元複素多様体が含まれていることを証明した. さらに, 有限型で知られていた, 「Maximal cuspという退化現象の稠密性」に関して, Bers埋め込みの微分に関する新しい不等式評価を証明することで, 無限型の場合には成立しないことを示した. これらのことは, 函数論及びトポロジーのいくつかの集会で講演し, 現在論文にまとめているところである. また, 有限型においても, Bers境界の構造に注目し, そのHausdroff次元を計算するという試みを始めた. このような問題設定は, 複素力学系とKlein群の変形理論の間の深いつながりについて言及しているSullivanの辞書からも自然な問題設定であると言える. 特に, 宍倉のMandelbrot集合の境界のHausdroff次元の評価を手本にしながら研究を進めている. 現在, 一点穴あきトーラスの場合に, Bers境界を生成するような局所自己写像族の微分を漸近的に評価することに成功し, これも2023年度研究集会「リーマン面・不連続群論」にて講演を行い, 関連する内容を他の研究者と議論した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に述べていたとおり, 当初存在が予想されていたものの, 具体的な構成が知られていなかった, Bers境界に存在する(位相的)擬Fuchs群の存在を証明できた. また, 明示的にその構成法を記述したことにより, いくつかの応用が得られ, 無限次元の場合のBers境界の構造に関しての理解が進んだ. 実際, 有限次元で知られていたような構造定理に関する反例を述べることができた一方で, 無限型特有の現象として, Bers境界には滑らかな構造が入るような領域が存在することも構成的に証明することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において, 重要な役割を果たしたDavid写像によるFuchs群の変形が三次元双曲多様体のレベルではどのような変形に相当したのかを明らかにすることを目指す. 具体的には, David-Fuchs b群による, 三次元双曲空間の商多様体は, 位相的には擬Fuchs群同様, 曲面と閉区間の直積と同相かを考察する. このためには, いくつか手法が考えられるが, 擬等角写像論の立場から考え, David写像の等角重心拡張がいつ同相写像を定めるかという問題を解くことで考察する. Riemann球面の自己擬等角写像の等角重心拡張がいつでも三次元双曲空間に同相写像を誘導するとは限らないことは知られているが, それらの反例に関して, 統一的な理論が知られていない. そこで, David写像にまで問題を一般化することで見通しを良くし, この解決を図る. 次に, 無限型曲面の表現空間を適切な意味で定式化し, Klein群の変形理論におけるDavid-Fuchs b群の意味合いを理解する. これらを通して, Bers境界の構造の解明を目指す.
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