Project/Area Number |
23KJ1200
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
立花 諒 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 葉緑体 / クロロフィル / 植物ホルモン / ブラシノステロイド / シグナル伝達 / 転写制御 / 恒常性 / ホメオスタシス |
Outline of Research at the Start |
光合成反応は葉緑体で行われており、葉緑体では緑色色素・クロロフィルが光エネルギーを化学エネルギーに転換している。一方、クロロフィルは活性酸素の発生源ともなり得るため、クロロフィル生合成を精密に制御することにより、適切なクロロフィル量を保ち、葉緑体の恒常性を維持することが植物の成長にとって重要である。近年、植物ホルモンの一種であるブラシノステロイド (BR) がクロロフィル生合成を制御することが明らかとなってきた。本研究は、申請者が発見した新規BRシグナル伝達因子BPG4の解析により、「BRシグナルによるクロロフィル制御を介した葉緑体恒常性維持メカニズム」の解明に挑む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は(1)BPG4の分子機能、(2)BRシグナルによるBPG4発現制御、(3)BPG4の生理学的意義を明らかにし、その内容を第一著者としてNature communicationsに報告することができた (Tachibana et al., 2024)。以下に今年度得られた研究成果の詳細を記す。 (1)これまでの研究により、BPG4はChl含量を低下させ葉緑体発達を抑制する機能を持つことが示唆されていたが、BPG4の詳細な分子機能については未解明だった。今年度はBPG4が葉緑体発達のマスター転写因子GLKsと相互作用することに着目して研究を行い、BPG4はGLKsのDNAに対する結合能力を低下させることによりGLKsの転写活性を抑制させることを明らかにした。 (2)BPG4は葉緑体制御に関わる新規BRシグナル伝達因子として単離された一方、BRシグナルとBPG4の関わりには未解明な領域が多く残されていた。今年度は、BRシグナル伝達のマスター転写因子であるBES1がBPG4発現を抑制することを明らかにした。 (3)(1)、(2)の研究成果により、BPG4はChl含量が増加するような環境(光照射・BR欠乏)において発現が誘導され、Chl含量を低下させる機能を持つことが明らかとなった。このBPG4の発現と機能の矛盾に着目し、BPG4の生理学的意義の解明を行った。その結果、BPG4が欠損すると強光条件下での活性酸素発生量が増加し、光合成活性が低下することが明らかとなった。この結果は、BPG4が過剰なChl蓄積を抑止することにより、葉緑体の恒常性を維持する機能を果たすことを示唆している。また、BPG4高発現体は強光照射時の活性酸素発生量が少なく光合成活性も高いまま維持されたことから、BPG4遺伝子を高発現させることにより、強光ストレスに強い植物が作出できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
葉緑体発達制御におけるBPG4の分子機能の同定に成功した。さらに、BRシグナル伝達によるBPG4発現制御メカニズムを解明できた。さらに、時空間的なBPG4発現様式を解明したことがきっかけとなり、BPG4の生理学的意義を明らかにすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年後得られたBPG4の立体構造をもとに、BPG4の分子機能において重要だと考察されたアミノ酸残基の機能解明に挑む。さらに、シロイヌナズナ、イネ、トマトにおけるBPG4の相同性遺伝子の機能解明を行うことにより、BPG4ファミリー全体の機能解明に挑む。
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