Project/Area Number |
23KJ1213
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 22020:Structure engineering and earthquake engineering-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀澤 英太郎 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 溶射 / 接合 / 有限要素解析 / 補剛板 / ステンレス鋼 / 圧縮 / 熱応力 |
Outline of Research at the Start |
本研究はステンレス鋼の接合に関わる製作コストを低減するため,金属皮膜の形成技術である溶射を用いた接合方法を提案する.近年,土木構造物の高耐久化が求められており,その手段として優れた耐食性を持つステンレス鋼の利用が注目されている.しかし,ステンレス鋼の溶接接合では,入熱による耐久性の低下や変形が懸念される.上記課題の解決に向けて,溶射を用いた低入熱な新しい接合方法に関わる材料試験,部材実験および数値解析を行い,その実用性を検証する.
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,(1)圧縮補剛板のパラメータ解析,(2)金属溶射による鋼材の変形および残留応力を再現する数値計算手法の構築,(3)圧縮試験体の初期たわみ計測を実施した. まず,肉盛溶射により接合された補剛板の座屈挙動を有限要素解析により調べた.解析モデルでは,実験により求めたステンレス鋼の材料特性を反映させたほか,すみ肉部の材料特性および鋼材との接触条件に対して,肉盛溶射による接合を反映させた.この解析モデルを用いて,補剛板の寸法,溶射皮膜の付着強度,初期たわみの大きさをパラメータとした数値計算を実施した.その結果,初期たわみの最大値が許容値の10%程度であれば,溶接補剛板の90%以上の強度を有することが示された.また破壊モードとして,溶射皮膜の剥離が進展した後,補剛材に局部座屈が生じた. 次に,Imperial College LondonのGardner教授の協力の下,熱応力解析に取り組んだ.溶接や金属3Dプリントに関する解析でも用いられる要素の生成・削除機能を使用して,金属粒子が堆積するプロセスを再現するとともに,生成される要素に対して初期温度として溶融温度を与えることで,溶射により堆積する溶融金属粒子を再現した.以上の手法により,肉盛溶射による鋼材の変形および残留応力を表現できる数値計算モデルを構築した. そして,肉盛溶射により補剛材を接合した試験体の初期たわみ形状を計測した.試験体は,補剛材のない無補剛短柱,溶接により補剛材を取り付けた溶接補剛短柱,最低限の点溶接を用いた点溶接補剛短柱,点溶接に加えて肉盛溶射を施した肉盛溶射補剛短柱の4ケースとした.変位計を用いて面外初期たわみ形状を計測した結果,最も入熱の大きい溶接補剛短柱では最大2.5mm,肉盛溶射補剛短柱では最大0.5mm,点溶接補剛短柱では最大1mm,無補剛短柱では最大0.9mmの初期たわみが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は,(1)圧縮補剛板のパラメータ解析,(2)金属溶射による基材の変形および残留応力を再現する数値計算手法の構築,(3)圧縮試験体の初期たわみ計測を実施した. (1)は,圧縮試験に先行して実施し,当初計画どおりにほぼ終了した.(2)は,当初計画のとおりに海外の研究者と協力して実施した.令和6年度も協力関係を継続し,解析モデルのアップデートを図る.(3)については,当初計画では圧縮試験の実施まで行う予定であったが,補剛材の接合方法に関する詳細な比較が必要と判断し試験体数が増加したこと,それらの接合方法で生じる試験体の初期不整(初期たわみ,残留応力)の詳細な計測が必要と判断したことにより,令和5年度は試験体の用意と初期たわみの計測までを実施した. 残留応力の計測については,前述した試験体数の増加に伴い令和5年度に実施できなかったため,令和6年度に計測機器をレンタルして実施する.本研究で対象とした接合方法で生じる初期不整をまとめたのち,当初計画していた圧縮試験を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,令和5年度に製作した圧縮試験体に対する残留応力の非破壊計測ならびに圧縮試験を実施する.これにより,対象とした接合方法により試験体に生じる初期不整を明らかにするとともに,肉盛溶射により十分な強度を確保できることを実験により明らかにする.また,圧縮試験結果を踏まえた解析モデルのアップデートを行い,本接合手法が効果的に適用できる条件を詳細に調べる.更新された解析モデルにより,当初計画していた梁部材の水平補剛材に対する肉盛溶射による接合の適用性も検証する.その後,可能であれば他の金属積層造形技術を用いた補剛材の接合手法に関する基礎的な材料挙動の調査を実施する.
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