Project/Area Number |
23KJ1216
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 秀朗 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 自己制御 / 実行機能 / 感情制御 / 認知機能 / 腸内細菌 / 食習慣 / 幼児期 / 脳腸相関 |
Outline of Research at the Start |
幼児期の自己制御の個人差は、将来の精神的・身体的な健康指標を予測する。しかし、この時期の自己制御の発達リスクに関わる生物学的要因が未だ明らかになっていない。そこで、自己制御の発達リスクを抱える子どもの身体機能の特徴のひとつに、「腸内細菌叢」の異質性があると仮説を立てた。本研究では、主に縦断研究を通して自己制御と腸内細菌の発達的関係性を明らかにする。本研究により、新しい支援の創出につながると考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、幼児期の自己制御(感情と認知の制御機能)と腸内細菌叢の発達的関連性を、横断的・縦断的アプローチにより明らかにすることである。自己制御の中でも特に感情制御の発達が、将来の社会経済的地位や心身の健康と密接に関連していることが知られており(Moffitt et al., 2011)、幼児期の感情制御は、個人の生涯を通じた健康の予測因子とされる。しかし、感情制御の個人差を生み出す機序は未だ解明されていないため、本研究では、心身の健康を支える生物学的要因として注目される腸内細菌叢に焦点を当てた。特に、幼児期は腸内細菌叢が成人の組成へと急速に発達する重要な段階であり、自己制御の問題が顕著になる時期でもある。2023年度は、3~4歳の幼児257名を対象に、自己制御と腸内細菌叢の関連性を横断的に検討し、糞便から腸内細菌叢を測定、質問紙で自己制御および食生活習慣を調査した。その結果、特に感情制御に困難を抱える児は、腸内の炎症状態と関連のあるActinomyces属とSutterella属といった菌が多くみられることが示された。また、感情制御の困難群は、対象群に比べて緑黄色野菜の摂取頻度が低く、偏食の割合が高いことも明らかになった。これらの結果から、幼児期の感情制御の困難さと腸内細菌叢との関係性の背景には食生活習慣が関与している可能性が示された。これらの研究成果は、国際学術誌「Microorganisms」に採択・掲載され、ブルガリアのソフィアで開催された「4th edition of the International World of Microbiome Conference」でポスター発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模データを基に、幼児の腸内細菌叢ー精神状態・認知発達との関連に関する研究成果を得ることができ、国際学会での発表や論文化を進めることができた。さらに、本研究計画を遂行する上で重要となる、縦断研究についてもすでにデータの取得が2023年度時点で完了しているため、今後データの解析と論文化に向けた大きな進展であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、横断研究で観察された自己制御と腸内細菌叢との関連を詳細に解析することを目的とし、すでに取得されている縦断データの分析および論文執筆を進める予定である。具体的には、初回の横断研究に参加した幼児を追跡し、2回目のデータ収集(160名分)を完了している。2024年度においては、これら2時点のデータを利用して、自己制御、腸内細菌叢、及び食習慣の発達的な関連性を明らかにするための分析と、それを基にした論文執筆作業を進める計画である。
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