Project/Area Number |
23KJ1227
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 真実子 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 貧困の表象 / ヴァイマル時代 / メディア |
Outline of Research at the Start |
ヴァイマル時代のドイツでは、労働者や失業者、物乞い、その家族、彼らの生活環境をモチーフとし、貧困を表象するという絵画動向が生じた。本研究は、その動向の展開を解明することを目的とするものである。そのために特に着目するのが、写真と映画という同時期の新たなメディウムによる貧困の表象である。当該の絵画と絵画同様に貧困を表象した他のメディウムの動向との関係性を紐解くことで、ヴァイマル時代ドイツの貧困を表象した絵画の展開を、社会・政治状況に加え、貧困の表象をめぐる同時代の広範な文化状況とのかかわりから包括的に捉えることができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度(1年目)は研究計画のなかでも「絵画と写真の関係性の解明」および「絵画と映画の関係性の解明」を課題として設定し、以下を遂行した。 まず、以前から調査し資料の収集を続けていた「ツィレ映画」についての口頭発表を5月におこない、その内容に基づく論文を作成した。この論文は令和6年度に学会誌に掲載予定である。 10月から12月には資料収集のため、ドイツのベルリンに滞在した。「絵画と写真の関係性の解明」のため素描画家ジョージ・グロスに関わる追加の資料やドイツ語の先行文献を調査および収集した。そこから、写真のみならず映画にも関心を抱いていたグロスの活動において線描が一貫して重要であったことが見えてきた。それゆえ、当時の線描についての状況や言説を、写真と映画との関係の観点から引き続き調査し、論文作成に向けて検討を続ける。この論文は令和6年度に国内学会誌に投稿する予定である。 また、10月から12月のドイツ滞在では、ヴァイマル時代後半に開催された左派傾向の展覧会の作品目録を入手することができた。こうした展覧会企画に画家オットー・ナーゲルが関与していたことから、彼について調査を続けた。それら展覧会が何を意図するものであったのか、当時の映画(あるいは映画館)の状況を視野に入れつつ引き続き検討をし、これについても令和6年度に論文化を目指す。他方、ナーゲルについての調査中には、彼がナチ時代に描いたベルリン労働者地区の風景画の存在を知ることができた。これは本研究の最終的な目的である「ヴァイマル時代の貧困を表象した絵画」の展開の解明に相応しいと考え、ナーゲルの風景画を「ヴァイマル時代の貧困を表象した絵画」の文脈において考察し論文化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を推進し、論文を作成するための資料や観点を集めることはできたものの、論文化するまでに予定以上の時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を進めるなかで、ヴァイマル時代ドイツの社会的・政治的状況、芸術家たちの状況について、そしてそれに関する国内外の研究動向について知ることができた。それらを踏まえつつ、令和5年度中に取り組んだ研究課題を論文化することで、「ヴァイマル時代の貧困を表象した絵画」の動向の一端を、複数の文脈の絡み合うところで解明することを目指す。 また、当時の広く貧困を表象した絵画・写真・映画の絡み合いがみられるヴァイマル時代に画家やその作品をさらに取り上げ考察することで、最終的には「ヴァイマル時代の貧困を表象した絵画」の動向を描き出すことを目指す。
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