Project/Area Number |
23KJ1232
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45050:Physical anthropology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱嵜 裕介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ボノボ / チンパンジー / 自己家畜化 / 神経堤細胞 / iPS細胞 / 遺伝子発現 / エンハンサー |
Outline of Research at the Start |
ボノボは、その姉妹種であるチンパンジーと比較して、低い攻撃性、縮小した頭蓋形態、弱い性的二型といった特徴を有している。これらの特徴は家畜化症候群と合致しており、ボノボは自己家畜化したとされる。家畜化症候群の発現には、神経堤細胞の性質変化が寄与しているとする仮説が提唱されているが、未だ実証されていない。本研究では、チンパンジーとボノボのiPS細胞を活用した神経堤細胞系譜への分化誘導と種間比較解析を通して、神経堤細胞仮説を実験的に検証することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、チンパンジー/ボノボiPS細胞由来神経堤細胞を用いた種間比較解析を通じて、自己家畜化の神経堤細胞仮説を実験的に検証することを目的としている。本年度は、チンパンジー/ボノボiPS細胞の作製と神経堤細胞の分化誘導系の構築を行なった。本研究に先立ち既に収集済みであったボノボの末梢血単核球に対して、ヒト初期化因子の導入によりiPS細胞を誘導し、国内では初となるボノボiPS細胞を複数株樹立することに成功した。同様の手法でチンパンジーの末梢血単核球からもiPS細胞を樹立し、これらのチンパンジー/ボノボiPS細胞について特性解析を実施した。更に、ヒト/チンパンジー/ボノボのiPS細胞について網羅的遺伝子発現解析による遺伝子発現プロファイルの種間比較を行なった。その結果、iPS細胞におけるチンパンジー/ボノボの種差はヒト/Pan属間と比較するとごく僅かであったが、その一方で、チンパンジー/ボノボ間の差次的発現遺伝子にはミトコンドリア活性に関連する複数の遺伝子が含まれていることを見出した。また、iPS細胞の作製と並行して、iPS細胞から神経堤細胞への分化誘導条件を検討することで、チンパンジーiPS細胞からSOX9/AP2α陽性かつ神経細胞への分化能を有する神経堤細胞を誘導することにも成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行に不可欠なボノボiPS細胞を複数株樹立することに成功し、更にiPS細胞から神経堤細胞の分化誘導にも成功している。既に樹立されたチンパンジーiPS細胞も含めて、今後の種間比較解析に向けた研究基盤が整いつつあるため、おおむね順調に進行できていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立したチンパンジー/ボノボiPS細胞から神経堤細胞を分化誘導し、細胞レベルの機能解析や網羅的遺伝子発現・エピゲノム解析を実施することで、チンパンジー/ボノボ間の表現型の種差に関わるゲノム基盤を探索するとともに、仮説が提案しているような種差を神経堤細胞に見出すことができるのか検討を進める。また、引き続きボノボiPS細胞を作製していくことで株数を増やしていく。
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