Project/Area Number |
23KJ1265
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小出 洋輝 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 高速原子間力顕微鏡 / 粗視化分子動力学シミュレーション / コンデンシン / 数値解析 / 生物物理学 |
Outline of Research at the Start |
申請者は、高速原子間力顕微鏡を使って、各ヌクレオチド条件のコンデンシンの構造が異なることを確かめた。それぞれの高速原子間力顕微鏡像を拘束条件にして、それぞれの構造モデルを構築する。本研究では粗視化構造モデルを用いる。申請者の先行研究で用いた高速原子間力顕微鏡像を拘束条件としたデータ同化(T. Niina et al. 2020)を用いて、ATPサイクルの各状態の構造モデルを構築し、その遷移をDNAと共に粗視化分子動力学シミュレーションにより計算する。これにより、コンデンシンがDNAループを押し出す様子を観察し、ループ押出機構の分子基盤を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
まず、高速原子間力顕微鏡によるコンデンシンの撮像データを整理し、ラベル化した。そのうえで、事前準備として、目視によるトラジェクトリーの構造把握を行った。その結果、実験条件によって、有意と思われる差が認められた。ここから、半自動で撮像から分子構造を抜き出す装置の開発を行った。しかしながら、半自動で人間の操作が加わることにより、検出が安定せず、またヒューマンエラーが多発した。その結果、全自動の分子構造検出装置の開発に着手した。全自動の検出では、コンデンシンのサブユニット毎にセグメンテーションを行い、一分子のシグナルを切り出したのち、粗視化分子動力学シミュレーションによって生成した網羅的なコンデンシン構造のあてはめを行った。粗視化分子動力学シミュレーションでは、異なるサブユニット構造を組み合わせ、非常に長いトラジェクトリーを複数生成することで、コンデンシンのあり得る構造を網羅的に生成することに成功した。 この全自動構造検出器を用いることによって、高速原子間力顕微鏡の全フレームに映った像を網羅的に検出し、そのすべての情報を用いることができるようになった。ここから、各サブユニットの構造や角度、距離、さらにはサブユニット間の結合の情報をも集め、それらの統計や状態間遷移を解析し、水溶液中におけるコンデンシンの分子動態を解明する。さらには、状態ごとの差異を明らかにし、ATPサイクルに従って、どのような構造変化のサイクルを経るのか明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、半自動で、高速原子間力顕微鏡から分子構造を検出する装置の開発を想定していた。しかしながら、半自動では、人間の操作の不安定性などにより、検出が不安定になり、また、大規模なデータを人間が一フレームずつ操作するのは現実的ではなかった。そのため、全自動の高速原子間力顕微鏡像分子構造検出器の開発に着手した。この全自動解析器は前年度のうちに完成したが、相当の時間がかかり、そのため研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究により全自動の高速原子間力顕微鏡像分子構造検出器は完成した。今後はこの装置の運用を実際に行い、膨大な高速原子間力顕微鏡像から、多数の分子構造の検出を目指す。実際には、ハイパーパラメーターのチューニングが重要であり、これを妥当な形で決定する。 そのうえで、検出した分子構造の様々な特徴(角度、距離、結合様式)を統計にかけ、実験条件ごとの差異や、状態間の遷移を明らかにする。その結果、コンデンシンのATPサイクルが、分子構造的にどのように為されるのかを解明する。その遷移のヒデンマルコフモデルを構築し、今後の粗視化分子動力学シミュレーションの拘束条件として利用できる形にする。
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