Project/Area Number |
23KJ1309
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 61060:Kansei informatics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根本 悠樹 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 不確定性 / 遮蔽 / 自律性 / 情報提示 |
Outline of Research at the Start |
私たちが日常的に目にするディスプレイ上では、ユーザが受容する情報が多ければ多いほどに豊かな体験が得られるという前提のもと、情報は常に明確に提示される。 一方人間は、眼前の情報を感知するだけではなく、遮蔽されて見ることができない不確かな空間領域を推定し知覚する。東洋の水墨画の霧の立ち込める余白表現に、鑑賞者は能動性を触発され印象深い知覚体験を覚える。ここに、情報を曖昧に示すことで自由度の高い解釈が許容されるという、情報提示の豊かさの在り方がある。本研究では、この不確かな遮蔽空間を媒体とした情報提示手法を、視覚的遮蔽の数理的な設計手法及びインターフェースの開発を通して汎用的な技術として確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
人間は眼前の情報を受容するのみならず、情報が明確に得られない場合には自律的に多様な解釈を行うことが可能である。本研究の目的は、情報の不確かさとして視覚的な遮蔽を導入することで、ユーザに自由度の高い解釈を可能とする、印象深い情報提示手法の開発である。本年度は、2次元の視覚情報に対する遮蔽の設計アルゴリズムの構築と、本研究の基本的な前提となる「不確かさが自由度の高い解釈をもたらす」という点について幅広く調査し、提案手法の有効性を検証する実験計画の立案を行った。 2次元の視覚情報に対して多様な解釈を可能とする遮蔽の最適設計手法を開発した。解釈の自由度を表す定量的指標を考案し、初期段階では単純な幾何学図形に限定した遮蔽形状で最適設計が可能であることを確認した。第28回日本VR学会大会にて発表を行い、遮蔽を媒体とした情報提示という、情報提示手法の在り方についてHCI分野の研究者からの意見を集めた。その次の段階で、遮蔽形状を単純な幾何学図形に限定しない場合には、複雑な視覚情報に適用する際に解探索が困難になるという問題が判明した。この問題を解決し、実用時間内での設計が行えるよう、アルゴリズムの改良を行った。 不確かさとその解釈に関する調査では、まずHCI分野や芸術作品、建築空間などにおいて不確かさをもたらすことで人間の解釈を拡張させる事例の調査と分類を行った。HCIの事例に通底する、人間の自律性を基本とした設計思想についての文献調査も行い、提案手法が解決可能な課題の方向性を検討した。続いて、情報提示おける視覚的遮蔽という不確かさに固有の体験を検証するため、視覚心理学、創造性など不確かさの体験に関連する認知、そして視覚的な不確かさを解釈する過程について実験美学の文献を調査した。これらの調査を通じて、着目すべき心理状態を明確化し、実験計画を立案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2次元の視覚情報に対する視覚的遮蔽の設計アルゴリズムを構築し、遮蔽の形状を単純な幾何学図形から任意形状へと発展させた。しかし、本年度では2次元の任意形状の視覚的遮蔽の設計アルゴリズムを構築には至ったが、それを3次元空間に適用する段階に至っていない。 また、本研究が提案する、視覚的遮蔽という不確かさを導入した情報提示手法の有効性を検証するにおいて、計画当初には想定しなかった領域での文献、学会参加、実体験を通じた調査が必要となった。具体的には、提案手法の前提となる、何を是とするかという技術の設計思想、並びにその思想が効果をもつと考えられる課題に関する調査と、それに準じた実験計画を立案するに際して、個別のインタフェースの評価に留まらない評価指標を立てるため、実験美学等の文献調査を行った。 以上から、進捗状況は計画通りには進んでいないが、本研究計画の基礎となる手法の開発と概念の整理を進めることができたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、本年度で実施に至らなかった、2次元の視覚的遮蔽に関する実験計画を遂行し論文発表を行う。続いて、視覚的遮蔽の設計アルゴリズムにおける目的関数を拡張することで、3次元空間への視覚的遮蔽の適用を行う。3次元での視覚的遮蔽について、本年度において調査・検討した設計思想から具体的な利用状況を想定した形での実験計画を立案し、遂行する。また、本研究計画では現実空間での実用化を目的としており、現実空間において視覚的遮蔽を適用するARフィルタの開発を予定している。
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