Project/Area Number |
23KJ1317
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越 大志朗 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 食用担子菌 / ゲノム編集 / 外来DNA / non-GMO / 分子育種 |
Outline of Research at the Start |
キノコはおが粉や農産廃棄物を原料に生産できるサステナブルな作物である。近年キノコでは、迅速かつ自在な分子育種への可能性を秘めるゲノム編集技術が適用された。しかし従来技術によるゲノム編集体は外来DNAのゲノムへの組込みが認められ、遺伝子組換え作物として取扱いに制限がかかる。そこで本研究の目的を、外来遺伝子の挿入のない(=non-GM)ゲノム編集法の開発をとした。具体的には、自律複製ベクターである担子菌用AMA1プラスミドの一過的な導入を利用したゲノム編集により、担子菌初のnon-GMな分子育種法の開発を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はパーティクルガンによるプラスミド導入プロトコルの構築を目指した。ヒラタケPleurotus ostreatus PC9株を用いて、実験に適した菌体培養方法、菌株へのプラスミドDNAの撃ち込み条件、形質転換体選抜のための薬剤添加手法及び濃度等について幅広く条件検討を行った結果、一部の条件において、プラスミド中のcas9遺伝子断片の導入が確認された。しかしながら、cas9を含むプラスミド内の遺伝子発現が確認された株は得られなかった。cas9に関しては、プロモーターが不完全な形で導入されたことが予想され、また、その他の遺伝子は発現カセットの部分断片が導入され機能しなかったと考えられる。一方で、プラスミド導入の有無にかかわらず薬剤耐性を有するバックグラウンド株が多数観察された。したがって、そもそも金粒子を撃ち込むことで染色体に大きなダメージを与えていることが示唆された。本年度の結果から、P. ostreatusにおいては、現在設定している金粒子サイズが大きすぎる可能性が高く、今後金粒子サイズを中心としたさらなるプロトコル改良を実施する。 本年度はさらに上記申請書記載の研究に加え、担子菌特有の生活環であるダイカリオン状態に着目した、外来DNA 組込みのない新たなゲノム編集手法「核移行ゲノム編集法」の開発を試みた。マーカー遺伝子pyrGを標的として、本手法によりゲノム編集を試みたところ、ゲノム編集されたモノカリオン株を単離することに成功した。本モノカリオン株においてゲノムPCR、サザンブロッティングを行ったところ、プラスミド断片の増幅は確認されず、本菌株は外来DNAを含まないことが強く示唆された。今後はこれらの株において全ゲノムリシーケンスを実施し、外来DNAの残存の有無を詳細に確認する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーティクルガン法の条件検討を行い、プラスミド断片の導入された株を得ることに成功した。プラスミド遺伝子の発現が確認された株の取得には至らなかったものの、その原因にはある程度目星がついており、来年度以降の更なる条件検討により解消されると考える。 さらに申請書記載の計画に加えて核移行ゲノム編集法の開発を試み、外来DNA残存のないことが強く示唆されたゲノム編集株を得ることに成功した。本手法の開発により、食用担子菌における外来DNA残存のないゲノム編集を達成するための新たなアプローチが提案されたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
パーティクルガン法によるプラスミド導入プロトコルの確立にむけ、金粒子サイズを中心としたプロトコル改良を行う。またAMA1 プラスミドの自律複製能と細胞での維持に関する解析も、プラスミドレスキュー実験やバイサルファイトシーケンス解析等を駆使して進めていく。 核移行ゲノム編集法により得られた、外来DNA残存のないことが強く示唆されたゲノム編集株については、全ゲノムリシーケンスを行うことで、外来DNA残存の有無を詳細に確認する。
|