Project/Area Number |
23KJ1337
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 優樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | AdS/BCFT対応 / エンタングルメントエントロピー / dS/CFT対応 / 超弦理論 |
Outline of Research at the Start |
原始宇宙では高密度の粒子が加速膨張するという極限状態にあり、その全容を解明するためには重力を記述する一般相対性理論及びミクロな粒子を記述する場の量子論の融合が必要不可欠になる。これは量子重力理論と呼ばれており、その候補として超弦理論及びそこから導かれるAdS/CFT対応が挙げられる。本研究ではさらに量子重力理論を記述する上で平均化(アンサンブル平均)が重要であるという最近の知見を推し進め、AdSCFT対応においてどのような役割を果たしているかを理解することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず境界つきホログラフィーにおける新たな配位の発見、またその物理が物性理論で話題となっている測定誘起相転移とにている事などを発見した。これらは2本の論文から成っており、一つ目の論文では重力空間での境界を表すブレーン上にスカラー場を置き今まで重力だけでは作ることが出来なかった配位を実現した。これにより境界をもつ共形場理論においての境界の繰り込み群を重力空間で記述することが可能になった。2本目の論文ではエンタングルメントエントロピーを計算し、その時間発展が測定誘起相転移と似ていることを指摘した。これはブレーンの挿入が測定操作と見做せる可能性を示唆している。 量子重力のアンサンブル平均として低エネルギー有効理論(古典重力理論)とみなす上で膨張宇宙の理解は欠かせない。我々の論文ではAdS/CFT対応を応用するために時間的な境界をde Sitter空間に挿入し、その上に場の理論が住んでいると思ってエンタングルメントエントロピーを計算した。それらが満たすべき不等式が破れていることを指摘し、de Sitter空間の特殊性、また場の理論側の非局所性を述べた。 また弦理論において上に出てきた時空の終わりブレーンが実現するかという問いに対し我々は次元削減と呼ばれる手法を用いることで背景場では存在しないブレーンが新たに生成されることを指摘した。弦理論の枠組みでは超対称性のないtype0と呼ばれる理論の非摂動的なブレーンを発見したことになる。 最後に別の仕事としてエンタングルメントエントロピーの紫外発散を背景場時空に対しiε処方を課すことで繰り込み不変な項を正しく再現することを指摘した。これらの不変項はアノマリーで記述することができ、この処方はアノマリー構造をうまく保つ正則化になっていると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は量子重力理論のアンサンブル平均を取った低エネルギー有効理論として半古典重力理論及びその境界のブレーンの働きを理解したいというものである。AdS/BCFT対応を用いてこれらの問いを進められたことは非常に大きな進展であり、新たな物理現象を見つけることができた。また超弦理論における世界の終わりブレーンの対応物を見つけることができ、古典重力ではその安定性を完全に予言することが難しいことが分かった。これは否定的な意見でなく、弦理論が持つ双対性などによってうまくその性質を解析できると期待している。また膨張宇宙は宇宙の創成初期のインフレーション期に現れる時空であり、量子重力効果が最も効いてくる時間である。これらにおけるブレーンの働きなどを理解することもできたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き境界付きホログラフィー(AdS/BCFT対応)の理解を深めつつ、膨張宇宙における量子重力及びその古典近似をエンタングルメント構造から理解したいと考えている。これは量子重力理論を理解したいという趣旨の根本であり、今後の研究の柱である。またそのために必要になるであろう超弦理論から膨張宇宙を作り出すアプローチについても研究を進める。また現実宇宙の観測とも整合するインフレーションモデルについても新たに提言することを目標としている。
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