Project/Area Number |
23KJ1342
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 笙吾 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 変形性膝関節症 / 早期軟骨変性 / 超音波画像装置 |
Outline of Research at the Start |
変形性膝関節症(膝OA)は、高齢者に頻発する関節軟骨の退行性変化を特徴とした疾患である。関節軟骨は自己修復能力に乏しい組織であるため、軟骨の量的減少に先行して早期から生じる軟骨の質的変性を検出し、治療や予防的介入を行うことが重要である。近年、軟骨の質的低下を超音波画像診断装置を用いて捉えることができる可能性が報告されているが、中高齢者を対象とした先行研究は少なく、膝OAの軟骨変性との関連については明確化されていない。本研究の目的は、早期膝OAの軟骨変性を鋭敏に反映する新たな超音波評価指標を確立し、その指標で捉えられた軟骨状態が、将来的な膝OAの進行に与える影響を明らかにすることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、DC1の申請年度より継続していた中高齢者対象のデータ計測を完了し、横断的な分析を実施した。変形性膝関節症(膝OA)患者における超音波画像装置で検出可能な早期軟骨変性の特徴を明らかにすることを目的として、①エコー輝度、②荷重負荷に対する軟骨の即時応答の2つの指標に関する分析を行った。①については、50歳以上の中高齢女性118名を対象に、超音波画像装置を用いて大腿骨内側軟骨の厚さとエコー輝度を計測し、膝OAの重症度毎に比較した。その結果、膝OAの重症化によってエコー輝度は高値を示し、その変化は軟骨の菲薄化(軟骨厚の減少)に先行して生じることが明らかになった。また、②については、50歳以上の中高齢女性56名を対象に、15分間のトレッドミル歩行の前後において大腿骨内側軟骨の厚さとエコー輝度を超音波画像装置で評価し、荷重負荷によって軟骨に生じる即時的な変化を健常高齢者と早期・軽度膝OA患者で比較した。その結果、早期・軽度膝OA患者では、健常高齢者に比べて歩行後に有意な軟骨厚の減少(軟骨の即時変形)が生じることが明らかになり、荷重負荷による軟骨の即時変形の増大が膝OAの早期軟骨変性の特徴であることが示唆された。さらに、このデータを用いた副次的な解析の結果、半月板変性の特徴の一つである内側半月板の突出量増加が、軟骨の即時変形の増大に影響を及ぼす因子であることも示唆された。 以上の横断的な分析により、膝OA患者における超音波画像装置で検出可能な早期軟骨変性の特徴として、安静時の軟骨が高輝度であること、および荷重負荷後の軟骨の即時変形量が大きいことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、DC1の申請年度より継続していた中高齢者対象のデータ計測を完了し、横断的な分析を実施した。その結果、膝OA患者における超音波画像装置で検出可能な早期軟骨変性の特徴として、安静時の軟骨が高輝度であること、および荷重負荷後の軟骨の即時変形量が大きいことが明らかとなった。この成果として、国内学会で2件(第7回基礎理学療法学若手研究者ネットワークシンポジウム、第11回日本運動器理学療法学会学術大会)、国際学会で1件(The 28th European College of Sport Science)の発表を行った。また、研究成果を英語論文としてまとめ、国際誌に2報(Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy、Annals of Biomedical Engineering)掲載された。 一方で、MRI T2 mappingを用いた分析については研究プロトコールを再検討中であり、進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、MRI T2 mappingを用いた分析について研究プロトコールを再構築し、データ計測の開始を目指す。また、前年度までに計測を終えた横断データを用いて副次的解析を実施する。一部は既に学会発表を終えており、当該内容については英語論文にまとめ、国際誌への投稿準備を進める。また、DCの最終年度にかけては縦断的調査を予定しており、対象者の再リクルートをはじめとした準備を進めていく予定である。
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