Project/Area Number |
23KJ1388
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
GUAN Jingyan 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 光触媒 / 水分解 / 金属有機構造体 / 人工光合成 / 第一原理計算 / 電極触媒 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、クリーンかつ安価な太陽光水素製造技術として期待される「半導体光触媒を用いた水分解」の高効率化を最終目的とする。そのためには、従来の貴金属もしくは金属錯体材料では実現できない「物性制御の容易さと高い安定性を両立した助触媒」の開発が必要不可欠である。本研究は導電性二次元金属有機構造体をその候補として提案し、実証するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
光触媒水分解反応の活性を向上させる戦略として、貴金属もしくはその酸化物からなる助触媒の担持が広く行われてきた。しかし、貴金属は水素発生反応のみならず、触媒的な水生成、および酸素還元反応も同時に促進してしまうため、高効率な水分解を達成するには不適である。一方で金属錯体は比較的容易に反応選択性などの物性を制御できることから助触媒としての応用が期待されるが、安定性の課題を有する。本研究は上述の助触媒開発におけるジレンマを解決しうる材料として、導電性二次元金属有機構造体(2D MOF)に注目した。本研究はこれまでの検討において、導電性2D MOFの一種であるNiBHTは高い安定性と水素発生反応選択性を兼ね備えた水分解用助触媒であることを実証した。一方で、用いたNiBHTは大きさ数μmのシート形態で、助触媒としては半導体との接触界面の少なさや励起光の遮蔽による効率低下などの問題点が考えられる。 本研究は前述の問題点を解決するために「キャップ配位子による導電性2D MOFの微粒子化」を実施した。キャップ配位子を導入することで合成した2D MOF(粒径:~7 nm)は、キャップ配位子を導入せず合成した試料(粒径:~数十μm)に比べ、はるかに小さな粒径を有していた。導電性2D MOFの微粒子を修飾させたモデル触媒系の光触媒水分解量子効率は10.3 %で、わずか0.25 wt%のMOF修飾量で卑金属助触媒ベース光触媒水分解系のトップレベルの効率を達成した。これはキャップ配位子による2D MOFの粒径制御の初めての報告であり、より高活性な2D MOF 水分解用助触媒の開発に貢献できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究計画である「キャップ配位子による導電性2D MOFの微粒子化」を実施し、MOFの微粒子化およびそれによる水分解活性の向上に成功した。さらに興味深いことに、粒径だけでなく、MOFの電子状態にも変化が現れることが実験的に確認された。この結果により、キャップ配位子は粒径を制御するモジュレーター配位子としての役割のみならず、MOFの電子構造と触媒活性に影響を及ぼすMissing linkerとしての役割も示唆された。これはキャップ配位子による2D MOFの粒径、電子状態および触媒能変化の初めての報告例であり、新しい手法での2D MOFの精密な物性制御が可能となる。当該研究成果の触媒分野における重要性が認められ、トップレベルの国際論文誌ACS Catalysisに掲載された。 さらに、2年目の研究計画である「半導体光触媒の表面における導電性2D MOFの直接的な合成」も大きく進展した。 以上の理由から、本研究課題の進捗状況は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では半導体光触媒の表面に導電性2D MOFを直接的に合成(MOFのin-situ担持)することで、光触媒水分解の大幅な効率向上を達成した。今後は時間分解マイクロ波分光法を用いた光触媒・MOF間キャリア移動の解析、および第一原理計算を駆使した触媒反応機構の調査などの手法を活用し、in-situ担持法の有用性を多角的評価する予定である。さらに、得られた知見に基づいて新しいMOFおよび担持方法を開発し、光触媒水分解の更なる効率向上を目指す。
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