Project/Area Number |
23KJ1417
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大津 創 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 歩行 / 高齢者 / 転倒 / 数理モデル / 蹴り出し力 / Margin of Stability |
Outline of Research at the Start |
加齢による蹴り出し力の低下とそれを補う下肢近位筋による代償が、高齢者の歩行中の転倒を引き起こす要因の1つであると考えられているが、その機序は未解明である。ヒトの歩行は立脚と遊脚の運動から成り、それぞれ不安定な固定点を持つサドル力学系と中立安定な固定点を持つセンター力学系に支配される。そのため、転倒回避には、サドルとセンターに支配される立脚と遊脚2つの運動が適切な協調関係の下で実現される必要がある。本研究では、蹴り出し力の低下とその代償がこの協調関係を崩し、転倒を引き起こす要因であることを作業仮説に、その機序を数理モデルと歩行計測を用い、サドル・センター力学系を基盤とする数理解析により解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の歩行中の股関節屈曲トルクの増強は、Push-off期における蹴り出し力や歩行安定性を低下させる要因だと考えられているが、そのメカニズムは明らかではない。今年度はこのメカニズムを理解するために以下の研究を実施した。 コンパスタイプの歩行モデルを用いて、歩行速度を変えずに股関節筋の発火を表すバネ剛性のみを増加させた場合に、蹴り出し力、股関節屈曲トルク、安定性の指標であるMargin of Stability(MoS)がどのように変化するかを調査し、その関係がヒトの実験計測においても成立するかどうかを検証した。その結果、歩行速度が0.50~1.75 m/sの場合、股関節のバネ剛性が増加すると、モデルとヒトの歩行の両方で股関節屈曲トルクが増加し、蹴り出し力とMoSが減少することが明らかとなった。さらに、股関節屈曲トルクの増加はバネ剛性の増加によって説明され、蹴り出し力とMoSの減少はバネ剛性の増加に伴うステップ周波数の増加によって説明された。ここで、股関節屈曲トルクの増大と蹴り出し力およびMoSの低下は転倒リスクの高い高齢者に共通する特徴であり、この特徴は股関節のバネ剛性の増加によって説明された。この結果は、歩行アシスト装置の制御設計や、高齢者の歩行戦略についての理解の向上に寄与されると考えられる。 本研究結果について、2023年8月にバイオメカニクス分野の国際会議であるISB2023にて発表し、同年9月に国際誌であるScientific Reportsに出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの歩行の数理モデルを用いた研究を実施し、特にヒトの歩行計測から同定した複数の特徴量をシミュレーション結果と比較することで、転倒リスクに関わる新たな知見が得られた。その成果をISB2023にて発表し、Scientific Reportsに出版された。以上より、上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度から現在にかけて、膝関節を有した歩行モデルを用いた研究を行っている。このモデルを使用して、股関節トルクと蹴り出し力の2つのパラメータがつまずきの発生や転倒の可能性にどのように影響を与えるのかについて調査している。具体的には、これらのパラメータが足と地面間のクリアランスやつまずきが発生した際の物理量の変化に与える影響を調査しており、現段階ではそれらの調査を行うためのモデル構築が完成したところである。こちらについても、論文化を目指して進めている。
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