Novel theory of optical manipulation based on luminescence
Project/Area Number |
23KJ1472
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 30020:Optical engineering and photon science-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒張 秀樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 光圧 / 発光 / 光マニピュレーション / オプトメカニクス / 誘導放出 / 超蛍光 |
Outline of Research at the Start |
発光は、光と物質の相互作用によって生じる最も基本的な光学応答の一つである。発光をトリガーとして物質自身に機械的な運動を誘起することができれば、発光特性を反映した新たな光操作の実現が期待される。本研究では、発光が物質に与える力学的な力(発光圧)がどの程度作用し、新たな運動を誘起し得るのかについて理論的に探索する。本研究はこれまでにない新奇光操作技術の発展に寄与するだけでなく、発光体内の量子特性を運動に変換するオプトメカニカル機構の提案や、発光体間の相関現象と機械的な運動との関係に着目した多体問題に対する基礎物理的知見をもたらす研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
発光による光圧(発光圧)技術の実現に向けて取り組んだ研究課題と得られた成果を以下にまとめた。 1) 発光圧により駆動する新奇オプトメカニカルシステムの実証:金属基板上に発光体膜を架橋した光機械共振器系において、発光圧によって発光体膜に自発的な機械振動を誘起可能であることを理論的に明らかにした。また、発光による「光ばね効果」により機械振動子の共振周波数がシフトすることを理論的に示した。本理論予測を実験実証するために実験グループと共同研究を推進し、現在では発光をモニターすることで機械振動子として働く発光膜の機械共振特性を計測できることを理論・実験の両面で明らかにした。これらは光共振器効果により発光モードと機械的振動モードが結合したことを示す初めての結果である。 2) 発光をトリガーとした発光体集団の自発的凝集機構の理論的提案:発光体粒子間の発光を介した相互作用と誘導放出の寄与を理論で考慮可能にし、反転分布状態にある2つの発光体粒子にかかる発光圧を評価した。このとき、発光が誘導放出を引き起こすことで、発光体間に働く光圧の方向が互いに引力となることを理論的に明らかにした。この成果は同種の発光体粒子集団における新奇な自発的光凝集操作の理論的提案につながる。 3) 超蛍光による光圧と発光体間の多体相関現象との関係解明:発光体集団の光を介した協力的発光現象である「超蛍光」によって生じる光圧を評価可能にし、その光圧は発光体粒子数に依存するという超蛍光の特徴を反映した力として働くことを明らかにした。さらに、効率的に発光体同士を相互作用させるために銀ナノファイバー上に発光体粒子を配置した系を想定して光圧を評価し、発光体粒子の配置によって働く光圧の大きさや方向を制御可能であることを理論的に示した。これは、光圧が粒子間距離によって変化する発光体間の相関関係に従って働いている証拠である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記載した各研究課題において順調に研究が進展し、以下のような期待通りの成果が得られた。 1) 実験で作製した金属基板と発光膜の架橋構造が理論予測通りに光機械共振器として機能することを、共振器内での発光の干渉や発光による振動状態の計測成功により確認できた。また、発光による光ばね効果の観測において阻害要因となる光熱の問題に対しても実験系や測定手法の工夫により対処し、光ばね効果を実験的に計測可能な実験系の構築に成功した。このように、発光駆動オプトメカニクス実証に向けた研究は順調に進んでいる。 2) 発光を介した相互作用と誘導放出の寄与を理論的に考慮することで、発光体間に働く発光圧が引力として働くことが明らかになった。このように、1年目で発光による凝集操作につながる成果が得られたことは大きな研究の進展である。 3) 金属ナノファイバー導波路の幾何学的構造を理論的に考慮可能にした上で、発光体に運動を生じさせるのに十分な光圧が働くことを理論的に確認した。また、超蛍光による光圧の評価を通して、相関形成を反映した光圧が発光体間に働くことが明らかとなり、相関と光圧の関係性を明らかにする大きな一歩を踏み出すことができた。 加えて、課題1)においては、発光駆動オプトメカニクスの将来的な発展に向けて新しい研究に取り組んだ。複数の機械振動子がコヒーレントに機械結合したナノメカニカル素子の振動ダイナミクスを理論予測し、各振動子の振動制御や振動子間の位相同期条件の解析を数値的に行った。また、これらの理論予測は実験グループと共同で実験実証に成功している。これらの結果は機械結合を介したインコヒーレントな発光のコヒーレントな自由度への変換を実現につながると期待される。 以上のように、特に課題1)については当初の予定より発展した研究段階に進んでいることから「当初の計画以上に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」欄に記載した研究課題1)-3)において、以下のように計画する。 課題1)については、発光による光ばね効果の実験観測の成功に向けて研究を進める。これが成功すれば、光共振器効果により発光と、共振周波数の大きく異なる機械共振器との物理的結合を初めて実証したことになる。また、機械的結合を介した発光駆動オプトメカニクス系に着目し、機械結合により機械振動がコヒーレント状態を形成することで、インコヒーレントな発光がコヒーレントな自由度へと変換されることを理論的に示す。 課題2),3)においては、研究を統合して推進していくことにより、発光体集団における光凝集ダイナミクスと超蛍光の相乗効果を狙う研究とする。課題2)については、発光体数を増やすことや、課題3)で想定したような金属ナノファイバー導波路系のように発光体周囲の環境構造を工夫することで、発光体間の相互作用を大きくして、発光体間に働く引力相互作用を増大させる。課題3)については、課題2)のように誘導放出の寄与を含めて超蛍光による光圧を評価できるよう理論拡張を行う。また、発光体間の相関がどのように発光体集団のダイナミクスに影響を及ぼすのかについて議論する。課題2)及び3)は、同種の発光体粒子集団における新奇な自発的光凝集操作の理論的提案につながる可能性があり、凝集後に高密度化した粒子集団が光を介して自発的に超蛍光を誘起する可能性について議論する。 以上の成果を発光による新奇光圧操作の成果としてまとめ、それが拓いた学理や新たな技術分野の可能性を議論し、新原理のナノテクノロジーの方向性を示す。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)