Project/Area Number |
23KJ1482
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
篠崎 未生 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 視空間認知障害 / 構成障害 / 早期発見 / スクリーニング検査 / 移行予測 / 軽度認知機能障害 / 主観的認知障害 / 認知症 |
Outline of Research at the Start |
自ら認知症を疑い医療機関を受診する患者の中には、客観的な認知機能の低下が認められない段階で、何らかの低下を自覚して受診する主観的認知障害(Subjective Cognitive Impairment: SCI)の患者がいる。近年、主観的認知障害の症状を有する患者は、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)や認知症への移行リスクが高いことが示唆されており、注目されている。 本研究では、もの忘れ外来に蓄積された12年間分の患者データを活用し、主観的認知障害患者のうち、後に軽度認知障害や認知症へ移行した患者と移行しなかった患者の自覚症状や各種検査結果を比較することで、発症リスクの高い患者を超早期に検出するための指標抽出を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
認知症の早期発見は、発症予防および進行予防において重要な課題である。令和5年度は、主観的認知障害(SCI)の患者の中で、将来的に認知症への移行リスクが高い患者の検出に有効な神経心理学的指標を絞り込むことを計画していた。 先行研究の知見の整理と神経心理学的検査のスコアの比較結果から、論理的記憶課題、図形模写課題、及び、もの忘れの自覚の有無が、認知症への移行リスクが高い患者の検出に有効な指標となりうることが示唆された。 そこで、これまで定量的スコアリングが困難であった図形模写課題に着目し、認知症発症前の立方体透視図模写の検査結果のみを用いて、3年以内の認知症への移行を予測するための機械学習モデルの開発を行った。立方体透視図模写画像からは、辺の本数や平行性、交点の数などの局所特徴量に加えて、異常検知モデルと転移学習を利用して抽出された全体特徴量を用い、決定木ベースのアンサンブル分類器でモデルの訓練および評価を行った。その結果、最終的に予測精度75-80%、AUC0.79-0.86に到達した。本研究は、記憶ドメインを使用せずに視空間認知に関する1項目の検査結果のみを用いて、将来的な認知症への移行を予測するというアプローチであり、このような研究は稀少である。 これらの成果の一部は、第18回日本応用老年学会大会、2023年度数理腫瘍学年末研究会、日本応用数理学会第20回研究部会連合発表会で発表を行った。また、近日中に国際ジャーナルに原著論文として投稿し、6月に行われる第66回日本老年医学会学術集会においても発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、主観的認知障害(SCI)の患者の中で、将来的に認知症への移行リスクが高い患者の検出に有効な神経心理学的指標を絞り込むことを計画していた。 すでに指標の絞り込みを終えており、さらに、未発症時点で描かれた立方体透視図模写の検査結果のみを用いて、3年以内の認知症への移行を予測するためのモデル開発も完了している。これらの成果は、近日中に原著論文として国際ジャーナルへ投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、立方体透視図模写検査と同時期に収集された「もの忘れの自覚」に関するテキストデータを用いて、3年以内の認知症への移行を予測するためのモデルの開発を行う。 令和5年度に行った自然言語処理による予備的解析では、データの前処理と形態素解析を実施した後、3年以内に認知症へ移行した患者と移行しなかった患者との間で、単語の出現頻度の違いを比較検討した。その結果、3年以内に認知症へ移行した患者では、「忘れ」と「ない」という単語が高頻度で出現することが明らかになった。サポートベクターマシンを使用して認知症への移行を予測するモデルを訓練および評価した結果、現段階で77.8%の精度が得られている。今後、さらに精度改善に向けて、予測に有効な特徴量の生成および抽出を行う予定である。
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