Project/Area Number |
23KJ1483
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
温 若寒 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | オンライン脱抑制 / 動機づけ・オンライン脱抑制モデル / ネット掲示板 / 「いいね」 / 意見表出 |
Outline of Research at the Start |
オンライン脱抑制(Suler, 2004)は、通常の対面コミュニケーションにおいて存在する行動抑制の認知機能が、オンラインコミュニケーション場面では緩和される(または完全に消える)現象を指す。つまり、通常では行わない行動や言わない発言を、ネット上ではすることが許容されると考えることである。本研究では、オンライン脱抑制の引き起こす要因とそれがネット上での行動に与える影響のメカニズムの解明を目指す。本研究の成果を活用して、近年社会問題化しているネット上での暴力行為の解決に向けた取り組みや、より快適なオンラインコミュニケーション環境整備への提言につなげる。
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Outline of Annual Research Achievements |
オンライン脱抑制は、通常では行わない行動や言わない発言を、ネット上ではすることが許容されると考える状態である。オンライン脱抑制がどのようにネット上での行動に影響を及ぼすかについて、従来、直接影響説がある一方で、より精緻化する「動機づけ・オンライン脱抑制モデル」があげられる。本年度では、特定の炎上事件を題材にした架空の掲示板スレッド用いて、参加者がリプライ投稿にリアクション(例えば「いいね」)をつけることができる状況で実験を実施し、動機づけ・オンライン脱抑制モデルの妥当性を検証した。 結果として、参加者はネット掲示板の投稿を目にした際、投稿に対するポジティブな態度や刺激感(投稿が刺激的なものだという感想)が「いいね」行動の動機づけとなるが、その過程がオンライン脱抑制に調整されることを明らかにした。つまり、投稿に対して「いいね」をしようとする動機づけがある場合のみ、強いオンライン脱抑制を経験すれば、「いいね」をする可能性が高まることが分かった。一方で、投稿に対してネガティブな態度を持つ場合、オンライン脱抑制の高さにかかわらず、「いいね」をする可能性がほとんどない。これらの一連の研究を通して、オンライン脱抑制がどのようにネット利用者の行動に影響を及ぼすかにより正確な説明を提供する。 今年度の研究成果を日本社会心理学会第64回大会と第3回計算社会科学会で発表した。そして、2つの論文としてまとめ、『Behaviour & Information Technology』誌と『Japanese Psychological Research』誌に投稿し、今査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、オンライン脱抑制の影響メカニズムについて、実験的なアプローチで「動機づけ・オンライン脱抑制モデル」の妥当性を検証する予定であった。複数の予備実験と5つの本実験を実施し、概ね目標に達成した。研究の成果を2つの学術論文としてまとめ、英語雑誌に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、投稿論文の掲載を目指した査読対応と博士論文を執筆する予定である。また、オンライン脱抑制の引き起こす要因について予備的な検討を行う。
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