Project/Area Number |
23KJ1485
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
張替 若菜 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ADHD / 軸索起始部 / 腸内細菌叢 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、神経細胞の「軸索起始部」(AIS)における細胞骨格のリン酸化修飾に着目して注意欠如/多動症(ADHD)の分子生物学的メカニズムを解明することを目標とする。ADHDには治療薬が存在するが、分子生物学的背景が不明であり、根本的な治療法はない。ゆえに、本研究ではADHDの病因に迫る。AISは入力情報を統合して活動電位を出力する軸索根元の重要な構造であるが、ADHD様行動を示すモデル動物でAISの長さの変化が見られる。この長さの変化がADHDを引き起こしており、その制御を細胞骨格のリン酸化が担っているという仮説に基づき、モデル動物を用いてADHDとAISの長さの変化の関係を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、注意欠如多動症(ADHD)様モデルげっ歯類にADHD 治療薬を与え、ADHD 様行動を改善させた際に軸索起始部の長さが変化するかを検証した。昨年度、我々は多動性や衝動性を示す複数のげっ歯類モデルにおいて、活動電位の出力部位である軸索起始部の長さの変化を見出した。しかし、軸索起始部の長さの変化と行動異常との関わりは不明であった。そこで、本年度は行動改善と軸索起始部の長さの変化に関連があるかを検討した。モデルとしては、脳に広く発現し、神経保護作用などを示す神経ペプチドであるPituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PACAP)の knockout(KO)マウスを用いた。PACAP KO マウスは多動性や頻繁なジャンプ行動などの行動異常を示し、この多動性にはADHD 治療薬が有効である。PACAP KOマウスにADHD治療薬の一種であるアトモキセチンを1 mg/kg、14 日間連続で腹腔内投与し、多動性が改善する際の軸索起始部の長さを計測した。その結果、PACAP KO マウスは一次体性感覚野の2, 3 層の錐体神経細胞の軸索起始部の長さが野生型よりも長く、その長さの変化はアトモキセチンの連続投与によって野生型程度まで回復することが明らかになった。 さらに、治療薬による行動改善と軸索起始部の長さの変化についての検討をラットで実施するために準備したLister Hooded(LH)ラットの糞便DNA を予備的検討として調査したところ、野生型群とLH 群で腸内細菌叢が異なることが明らかになった。これまで、自閉スペクトラム症様モデル動物での腸内細菌叢が異なることは報告されているが、ADHD 様モデル動物での相違の発見には新規性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADHD 様モデルげっ歯類における軸索起始部の長さの変化と行動改善との関係を示唆する結果を示すことができた。また、ADHD 様モデルラットにおいて、野生型群とモデル群において腸内細菌叢が異なること、野生型群のモデル群への糞便移植により、ADHD 様行動が改善することを明らかにした。この結果は、腸内細菌叢移植やプロバイオティクスによる新しいADHD 治療方法への展開することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画から変更し、次年度はADHD 様モデルラットにおける野生型からの糞便移植によりADHD 様行動が改善する理由を腸脳相関という視点で解き明かす。すでに、糞便移植後に行動改善したラットのADHD 関連脳領域組織採取は済んでおり、今後はそれらの脳組織を腸内細菌叢が関与するとされる視床下部-下垂体-副腎系や、興奮性-抑制性制御に着目して解析を進める。
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