Project/Area Number |
23KJ1495
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 37030:Chemical biology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 啓太 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | がんペプチドワクチン / 脂質ナノ粒子 / アジュバント |
Outline of Research at the Start |
がんペプチドワクチンは,がんを根治しうる次世代のがん治療薬として期待できる一方で,ペプチド抗原の免疫原性の低さが主な障壁となり,実用化には至っていない.本研究は,乳がん抗原ペプチド(CH401)と,複数種の自然免疫リガンドを,100 nmサイズの脂質ナノ粒子に共搭載した“病原体模倣型脂質ナノ粒子ワクチン”を調製し,その機能を評価する.本ワクチン設計は,①抗原-自然免疫リガンドの共集積化,②免疫系に効率的に送達されるサイズと形状(100 nm, 球状),③複数の自然免疫リガンドによる相乗的免疫活性化という,病原体が持つ3つの特徴を併せ持ち,強い抗原特異的免疫応答の誘導が期待できる.
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Outline of Annual Research Achievements |
がんワクチン療法は,次世代のがん治療法として期待される一方で,実用化は進んでいない.一般に,ワクチンは,抗原とアジュバント(免疫賦活化剤)からなる.これまでに本研究では,乳がんペプチド抗原CH401と,アジュバントとして汎用されるPam3CSK4を複合化したセルフアジュバンティングワクチンについて検討し(共有結合ワクチン),このワクチン候補が,抗原選択的に強い免疫反応を誘導することを確認した.加えて,この共有結合ワクチンを脂質ナノ粒子に搭載し,免疫細胞へ効率的に送達できる100 nmサイズ,球状に成形することで,ワクチン機能が向上することを明らかにした(第1世代脂質ナノ粒子ワクチン). 本研究では,第1世代脂質ナノ粒子ワクチンのさらなる高機能化を目指した.すなわち,100 nmサイズの脂質ナノ粒子に対し,CH401とPam3CSK4からなる共有結合ワクチンに加えて,追加のアジュバント(α-GalCer/MPLA/CpG ODN 1826)を共搭載し(第2世代脂質ナノ粒子ワクチンワクチン),その機能を評価した.マウス免疫実験の結果,第2世代脂質ナノ粒子ワクチンワクチンは,抗原選択的な強い免疫反応を誘導しながら,共搭載するアジュバントの種類に応じた特徴的な免疫反応を惹起することがわかった.特に,α-GalCerを共搭載することで,第1世代脂質ナノ粒子ワクチンよりも顕著に高い抗体価の誘導,MPLAとCpG ODN 1826の両方を共搭載することで,Th1バイアスな免疫応答の誘起に成功した.さらに,これら2つのワクチン候補は,ヒト化マウスに対する免疫実験においても,抗原に対する免疫応答を誘導し,ヒトに対しても確かに機能することを示した.本研究成果は,効果的なワクチン創製のためのワクチン設計指針を提示し,がんワクチン実用化の実現に向けて新たな展開をもたらすものであると期待できる.
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