Project/Area Number |
23KJ1598
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
三浦 千裕 鳥取大学, 農学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 菌寄生的共生 / 菌従属栄養植物 / ラン科植物 / 菌根共生 / レクチン |
Outline of Research at the Start |
本研究ではラン科植物が病原菌をだまして共生させる特殊な共生システム「菌寄生的共生」の成り立ちを進化および分子機能の観点から理解することを目指す.すなわち,ラン科植物で顕著な多様化が確認されたMannose-specific lectin-like protein (MLP) に着目し,MLPがどのような祖先から進化し,ラン科植物の菌寄生的共生においてどのような役割を果たしているのかを明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
ラン科植物は,光合成ではなく共生菌から一方的に炭素源を奪って発芽や成長の糧にする菌根共生 (菌寄生的共生) システムを獲得している.本研究では,ラン科植物が菌をだまして共生させる特殊な共生システムである菌寄生的共生の成り立ちを進化および分子機能の観点から理解することを目指している.具体的には,ラン科植物で顕著な多様化が確認されたMannose-specific lectin-like protein (MLP) に着目し,MLPがどのような祖先から進化し,ラン科植物の菌寄生的共生においてどのような役割を果たしているのかを明らかにする. 令和5年度は,ラン科植物シラン (Bletilla striata) に保存されているMLPのアミノ酸配列に基づく3次元構造の予測,MLPタンパク質の大腸菌発現コンストラクトの作成,およびMLPタンパク質の抗菌活性試験を行なった.MLPタンパク質の3次元構造予測はAlphafold2を用いて実施した.その結果,βシート構造で構成される3つのサブドメインから成る立体構造が予測された.これはオニノヤガラ (Gastrodia elata; ラン科) で既知のMannose-binding lectinの結晶構造と非常に類似していた.オニノヤガラから同定されているレクチンタンパク質は真菌に対する抗菌活性を示すことが知られていることから,シランのMLPについても同様に抗真菌活性を調査した.寒天培地の中央に菌糸プラグを置き,その周囲に大腸菌組換えタンパク質抽出液を染み込ませたペーパーディスクを設置して菌糸伸長を観察した結果,シランの共生菌であるSerendipita vermiferaにおいてMLPの抗菌活性が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度はMLPアミノ酸配列に基づくタンパク質立体構造の比較解析により,シラン (Bletilla striata) で多様化しているMannose-specific lectin-like protein (MLP) の構造的特徴を明らかにした.また抗菌活性試験により,MLPが共生菌に対して抗菌活性を示す可能性のあるデータが得られた.これらの結果はランが抗菌活性のあるMLPを多様化させることにより,元々は病原菌であったと考えられる菌の生育を適度に抑制することで,菌を共生的に定着させることに成功したのではないかという当初の仮説を支持している.一方, MLPの抗菌活性試験の結果が安定しない問題が生じており, 現在その原因究明を行なっている. 以上のことから,現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度はAlphafold2により予測されたMannose-specific lectin-like protein (MLP) のタンパク質立体構造をもとにした系統解析を行い,遺伝子配列を元にした分子系統解析と併せてラン科植物の進化とMLPの進化との関連を明らかにする.またMLPの抗菌活性試験を引き続き実施する.本試験については結果の安定性の点で問題が生じている.これについては大腸菌発現MLPのほとんどが膜画分に捕捉されることが原因と考えられる.今後はMLPタンパク質の可溶化プロトコルを確立し,抗菌活性試験およびMLPと真菌細胞壁との結合解析を実施したい.
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