Project/Area Number |
23KJ1632
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大和田 一志 広島大学, 統合生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | ゲノム編集 / 哺乳類多能性幹細胞 / スクリーニング / 細胞運命決定 / 初期発生 |
Outline of Research at the Start |
私たちヒトを含む多細胞生物の起源は、たった一つの細胞である受精卵である。この受精卵が細胞分裂を繰り返し、適宜細胞運命決定されることで、生体を構成する多種多様な細胞が出現する。マウスの場合、着床までに栄養外胚葉と内部細胞塊への第一の運命決定と、内部細胞塊からエピブラストと原始内胚葉への第二の運命決定が起こる。私は内部細胞塊から将来胚全体を形成するエピブラストおよび将来卵黄嚢を形成する原始内胚葉への分化に着目した。 これまでにゲノム編集を応用したスクリーニング技術により、タンパク質の産生(翻訳)に関連する複数の因子が重要な役割を担うと示唆された。今後は当該運命決定における機能検証を行う予定である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳類初期発生過程における細胞運命決定メカニズムを理解することを目的とする。着床前マウス初期発生過程における多能性を有する内部細胞塊からエピブラスト(Epi)および原始内胚葉(PrE)への運命決定に着目し研究を行う。 令和4年度迄にCRISPRスクリーニングを完了済で、マウス胚性幹細胞から原始内胚葉様細胞(PrELC)への分化に関連する遺伝子として9つの翻訳関連遺伝子を同定している。令和5年度は、これら9つの候補遺伝子がPrELC分化、およびエピブラスト様細胞(EpiLC)分化に与える影響を評価した。その結果、複数の遺伝子で顕著なPrELC分化効率の低下が確認された。さらに分化誘導効率の低下が確認された遺伝子について、RT-qPCRによるEpiマーカー遺伝子相対発現レベルの定量を実施した。その結果、多能性マーカーおよびPrEマーカーの増減を示さなかった。一方、一部の遺伝子についてEpiマーカーの相対mRNA発現レベルが顕著に増加すると示唆された。従って、PrELC分化効率の高レベルの維持に必須であるだけでなく、EpiLC分化を抑制する可能性がある遺伝子を見出すことに成功した。 上記研究成果について、オンラインで開催された国際セミナーにて口頭発表を行った。今後、さらなる機能解析を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、計画1) 9つの候補遺伝子ごとにノックダウン細胞を取得、計画2) PrELC分化に与える影響評価、計画3) エピブラスト様細胞(EpiLC)分化に与える影響評価、および計画4)翻訳制御機構の解明、を当初の計画としていた。計画1)では、DNA切断活性を欠失したdeactivated Cas9と転写抑制ドメインを融合したCRISPRiシステムを構築し、着目する遺伝子のノックダウンを実施した。計画2)では、PrEマーカーに基づいてフローサイトメーターによる分化誘導効率の算出を実施し、複数の遺伝子で顕著なPrELC分化効率の低下を確認した。計画3)では、計画2)で分化誘導効率の低下が確認された遺伝子について、RT-qPCRによるEpiマーカー遺伝子相対発現レベルの定量を実施した。その結果、多能性マーカーおよびPrEマーカーの増減を示さなかった一方、一部の遺伝子についてEpiマーカーの相対mRNA発現レベルが顕著に増加すると示唆された。計画4)では、実験に必要なノックアウト細胞の取得を試みたが、予想に反し、現時点で取得できていない。現在、別の実験方法を模索し検討中である。以上に記述したように、計画1)2)3)に関しては順調に進展できていると言えるものの、計画4)については、当初の計画通りの進捗が得られていないため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度には、前年度に引き続き、EpiLC分化およびPrELC分化における翻訳制御機構の解明を継続して進める。最後に、マウス初期胚を用いたEpiおよびPrE運命決定への関与を検証する。本研究で得られる成果はマウス初期胚におけるEpiおよびPrEへの運命決定機構の理解に貢献すると期待される。そのため、これらの研究によって得られた成果を研究論文にまとめ、国際学会等で発表する。
|