Project/Area Number |
23KJ1663
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
奥村 陽介 徳島大学, 大学院医科栄養学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 慢性腎臓病 / 亜鉛欠乏 / 亜鉛輸送体 / 高リン血症 |
Outline of Research at the Start |
慢性腎臓病(CKD)で高頻度に見られる亜鉛欠乏は、心疾患や感染症などの合併症リスク上昇、腎機能低下と関連する病態増悪因子である。しかしながら、CKDに伴う亜鉛欠乏の発症機序の全容は解明されていない。申請者はこれまでの研究からCKD病態下では、吸収不全と排泄増加による絶対的亜鉛欠乏と、一部臓器に亜鉛が蓄積する相対的亜鉛欠乏が生じる可能性を見出している。本研究では、それら絶対的・相対的亜鉛欠乏が生じる分子機序とそれらがCKD病態形成に及ぼす影響について解析する。そして、亜鉛代謝を考慮したCKD治療法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでの検討から、CKDモデルラットでは腸の亜鉛吸収低下と尿中亜鉛排泄増加による絶対的亜鉛欠乏と一部臓器に亜鉛が蓄積する相対的亜鉛欠乏が生じる可能性を見出している。本年度は絶対的亜鉛欠乏が生じるメカニズムについて、5/6腎臓摘出術によりCKDを誘発したラットを用いた検討を行った。 検討の結果、CKDラットにおける亜鉛吸収低下は小腸自体の亜鉛代謝変化によるものではなく、CKD下で増加する小腸管腔内の無機リン酸(Pi)が亜鉛の可溶性を低下させることで生じていることが示唆された。またこのPiによる亜鉛吸収低下は、リン吸着剤である炭酸ランタンの投与により改善した。さらにCKDラットに低リン食や炭酸ランタンを経口投与したところ、いずれも血漿亜鉛濃度は有意に上昇し、適切なリン管理は亜鉛欠乏の改善に有用であることが示された。また尿中亜鉛排泄増加のメカニズムについて、CKDラット腎臓において亜鉛の再吸収を担う輸送体Zip8のmRNAおよびタンパク質発現が低下することを見出した。エピゲノム修飾に関するデータベースChIP-Atlasを用いた解析から、Zip8遺伝子の近傍に腎障害によりクロマチンアクセシビリティが変化する配列も見出しており、今後は腎障害による輸送体発現低下機序について検討を進める。 従来、亜鉛欠乏に対しては亜鉛製剤や食品による亜鉛補充療法が標準的に行われているが、本研究成果はCKD病態下において複数のメカニズムが亜鉛欠乏の発症に関与することを示唆しており、従来の一律的な亜鉛補充慮法だけでなく亜鉛欠乏の原因に合わせた治療アプローチの必要性を示すものである。
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