Project/Area Number |
23KJ1666
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 22060:Environmental systems for civil engineering-related
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
谷中 彩寧 香川大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 一般廃棄物焼却飛灰 / 再資源化 / コンクリート / 食品関連廃棄材 / 有害物質 / 無害化 / 安定化 |
Outline of Research at the Start |
近年,最終処分場の容量はひっ迫し,一般廃棄物焼却残渣の年間排出量が最終処分される廃棄物の3/4を占め,かつ,焼却残渣である飛灰にはセメントと類似の成分が含まれるため,コンクリート材料としての再資源化が適すると考えられるが,飛灰をセメントに対して大量置換した場合,当該コンクリートの流動性や強度等の基本性能の確保の困難さと,飛灰に含まれる有害物質の当該コンクリートからの溶出による周辺環境汚染の可能性がある.そこで,魚骨や廃シロップが持つ有害物質の吸着・無害化に着眼し,それらを用いて飛灰に含まれる有害物質のコンクリート中における無害・安定化を行い,飛灰大量混和コンクリートの要求基本性能を確保する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,一般廃棄物焼却飛灰(以降,焼却飛灰)を混和したコンクリートの流動性や強度等の基本性能ならびに有害物質の溶出特性を把握・検証すると同時に,食品関連廃棄材を用いた,コンクリート中における有害物質の無害化ならびに安定化手法について検討し,加えて,実環境や過酷な環境を想定した系における当該コンクリートの安全性を評価することを目的としている.本年度は,主として,前者の目的に関連する部分について研究を実施した. 焼却飛灰を混和したコンクリートを作製するため,目標のスランプや空気量が得られるように試し練りを実施して配合条件を検討し,圧縮強度試験によって当該コンクリートの強度を確認した.水セメント比55%,細骨材率43~45%,焼却灰置換率10%の配合条件では,施工上問題のないコンクリートが作製でき,また,28日養生時点では耐久設計基準強度である24N/mm2を上回る圧縮強度が確保できた.他方で,焼却飛灰からフッ素が溶出する可能性があったことから,フッ素の無害化手法として,食品関連廃棄材である魚骨由来ヒドロキシアパタイト(Fishbone Absorber(以降,FbA)あるいはFishbone Powder(以降,FbP))ならびに従来と製法の異なる魚骨ベースの吸着材を用いた吸着処理を提案し,これらを用いた吸着試験を実施した.その結果,製造方法を変更した魚骨ベースの吸着材においては,製造方法によっては,pHを調整しなくてもフッ素を吸着できることが判明したことから,この吸着材を用いることで,強アルカリ環境下のコンクリート中においてもフッ素の無害・安定化が可能であると示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第1年度においては,焼却飛灰から溶出する可能性のある有害物質の無害・安定化として,とりわけ,フッ素を対象として,食品関連廃棄材であるFbA・FbPならびに従来製法と異なる魚骨ベースの吸着材の吸着性能を検証し,焼却飛灰の再資源化として,コンクリートへの大量混和を検討した.前者については,FbAならびにFbPは,フッ素の吸着にはpHを調整する必要があったが,従来製法と異なる魚骨ベースの吸着材は,製造方法によっては,pH調整の必要なくフッ素の吸着材として利用可能であることが判明した.一方で,後者については,焼却飛灰混和コンクリートの比較対象として,灰無混和コンクリートや一般廃棄物焼却主灰や木質灰等の様々な焼却灰を混和したコンクリートを用意し,それぞれに対して試し練りを実施して配合条件を検討したが,焼却飛灰等が水分を吸収しやすいこともあり,大量混和した場合の試し練りがなかなか上手く進まず,現在は配合決定に時間を要している状況である.また,焼却飛灰には塩素が多く含まれていることから,焼却飛灰をコンクリートに大量混和した場合,塩素含有量がコンクリートの許容値を上回る可能性があり,当該コンクリートの劣化に繋がることが考えられる.そのため,焼却飛灰を大量混和したコンクリートの作製と同時に,コンクリート中においての塩素の無害・安定化についても検討する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に博士号を取得したため,DC2から資格変更を行い,次年度からはPDとして研究に従事する.今後の研究の方針としては,焼却灰置換率を増加させ,作製したコンクリートの基本性能の把握ならびに有害物質の溶出の有無を確認する.また,先述の通り,焼却飛灰には塩素が多く含まれているため,焼却飛灰をコンクリートに大量混和した場合,塩素含有量がコンクリートの許容値を上回る可能性があり,当該コンクリートの劣化に繋がることが考えられる.従来製法から製造方法を変更した魚骨ベースの吸着材は,pHの調整なしに塩素と同じハロゲンであるフッ素を吸着したことから,コンクリート中における塩素の無害・安定化も可能であると考えられるため,魚骨ベース吸着材の塩素に対する吸着試験を実施する.加えて,海に囲まれた日本の実環境を模して,構造物が塩化物にさらされるような状況を想定した吸脱着実験等を行い,有害物質の吸脱着特性を検証する.さらに,過酷な環境を想定して,模擬酸性雨を用いた乾湿繰り返し等の促進実験や暴露実験等を行い,長期的な劣化が当該コンクリートからの有害物質の溶出に与える影響や経時的な有害物質の溶出についても検証する.
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