Project/Area Number |
23KJ1676
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有川 忍 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 量子センシング / 基底三重項 / 偏極 / ODMR / 発光 |
Outline of Research at the Start |
量子センシングは高感度な測定を実現する手法として近年注目を集めている。ダイヤモンド内に意図的に窒素原子を混入させたNVセンタは、ダイヤモンド構造に由来した高い安定性を持つため、強力な量子センシングデバイスとして注目されている。このNVセンタは非常に有用なデバイスであるが、ダイヤモンドを基盤とするため、格子欠陥の能力を維持したままの小型化や、物性制御を目的とした精密な官能基化が難しいと言った問題を抱えている。本研究では、NVセンタにかわる有機分子をベースとした量子センシングを達成することができれば、これらの問題は解決できると着想した。
|
Outline of Annual Research Achievements |
量子効果を利用して外部環境の物理量を計測する量子センシングは高感度な計測手法として近年注目されている。なかでも、NV センターを用いた 光検出磁気共鳴 (ODMR) 測定は、磁場や温度、電場を計測する有力な手法として研究されている。この NV センターはダイヤモンド構造を持つため高い安定性を持つが、サイズが比較的大きく内部構造が不均一なため、分子レベルでの検出や精密な物性制御が困難という問題があった。そこで本研究では、NV センターにかわる分子型センサを開発できればこれらの問題は解決できると着想した。2023年度はNV センターと同様に基底三重項状態を形成し発光特性が期待されるジラジカルを設計し、その合成と物性解明に取り組んだ。ジラジカルは既知化合物から二段階で合成できシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびGPCを用いて精製することができた。トルエン溶媒中低温での電子スピン共鳴 (ESR) 測定では、微細構造をともなうシグナルと半磁場での禁制遷移が観測され、三重項状態の生成を確認することができた。また、時間分解電子スピン共鳴 (TRESR) 測定から量子センシングには必須の電子スピン偏極生成能力を持つことを明らかにし、光学測定から発光特性を持つことを明らかにした。一方、ジラジカルは光・熱安定性が低くレーザー照射下ではすぐに分解してしまったため、ODMR測定では三重項状態に由来するシグナルを検出することができなかった。現在、置換基の導入を行い安定性を向上させたジラジカルの合成および精製の検討を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ODMR測定を用いた量子センシングには必須の発光特性と偏極特性をあわせ持つジラジカル分子の開発に成功したため、研究は進展したと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度の結果をふまえ、2024年度は誘導化によりジラジカルの光安定性を向上させることで、ODMR測定での検出を可能にし、有機分子を用いた量子センシングを実現する。
|