大規模数値シミュレーションによる銀河宇宙線の太陽圏侵入・輸送過程の研究
Project/Area Number |
23KJ1684
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 光太郎 九州大学, 総合理工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 宇宙線輸送 / 太陽圏 / テスト粒子計算 / 磁気流体計算 |
Outline of Research at the Start |
本研究は宇宙線の太陽変調について高精度な理解を目指すものである。地球に到来する宇宙線の中でも、我々の住む天の川銀河内に起源があるとされる銀河宇宙線は、銀河内を伝搬し、太陽圏へ侵入して地球へ到来する。その侵入・輸送過程は太陽圏内の様々な境界構造の影響により極めて複雑になり(宇宙線の太陽変調)、不明な点が多い。本研究では、高解像度グローバル3次元磁気流体計算と大規模テスト粒子計算を組み合わせた数値シミュレーションを行う。粒子軌道の解析や観測データとの比較により、太陽圏から地球までの侵入・輸送過程を粒子軌道レベルで理解する。そして太陽変調に寄与する太陽圏の境界構造の役割を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、銀河宇宙線の太陽圏への侵入・輸送過程を粒子軌道レベルで理解し、太陽変調に寄与する太陽圏構造を明らかにすることである。今年度は高解像度グローバル3次元磁気流体計算によって再現した定常太陽圏下で、大型テスト粒子計算を実施し、太陽圏に侵入する銀河宇宙線の粒子軌道と粒子統計について調査した。粒子統計の解析の際には、太陽圏外での粒子の空間初期分布の不均一性を補填するような重み関数を適用した。テスト粒子計算の結果から、初期のローレンツ因子γ(エネルギーに相当する)にかかわらず粒子は、星間空間の磁場が太陽圏界面にほぼ垂直な領域から太陽圏内に容易に侵入する傾向が確認された。加えてγ=10(~10の10乗eV)の粒子に関しては、太陽圏前部および側部の赤道面の電流シートとヘリオポーズが接触する領域から侵入する傾向があった。また侵入後、多数の粒子が太陽圏内の終端衝撃波面や極域の磁場が弱い領域に沿って伝搬し、内側境界(太陽から50AU地点)の中高緯度に到達することが確認された。γ=1000(~10の12乗eV))程度の粒子は、太陽圏前部の領域からは侵入できないことがわかった。このとき粒子は太陽圏前部の強力な磁場による偏向を受ける。一方で太陽圏尾部からは粒子は侵入しやすい。侵入した粒子の多数が内側境界の尾部領域に分布する結果となり、初期の空間分布の一様性に反し、到達分布に強い異方性が生じる結果が得られた。これら成果については現在、論文投稿の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀河宇宙線の粒子統計の議論に必要な大型計算用の並列コードを整備し、低エネルギー及び高エネルギーの銀河宇宙線粒子のテスト粒子計算を実施した。計算データ解析には独自の工夫(重み関数の導入)を施し、過去にない精度で銀河宇宙線の統計的振る舞いを議論している。以上の理由から当該年度はおおむね順調に研究を進めることができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、波動による宇宙線粒子の散乱効果について調査する。これは観測との比較においても重要な効果である。すでに計算コードへの実装は済んでおり計算を実施できる状態にある。また計算結果の解析において、機械学習の手法を用い、粒子軌道の特徴を精査する。これにより粒子軌道と粒子統計を紐づけた理解を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)