Project/Area Number |
23KJ1686
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 百雲子 九州大学, 人間環境学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ワーク・エンゲイジメント / パワーハラスメント / 組織開発 / アンガーマネジメント / アサーション / 積極的傾聴 / マインドフルネス / 認知行動療法 |
Outline of Research at the Start |
本研究では管理職を対象とした短期の組織開発的アプローチがパワーハラスメント(パワハラ)を防止し、ワーク・エンゲイジメントの向上を導くという効果性を検証する。介入プログラムはアンガーマネジメントやアサーション、傾聴、リラクセーション等を組み合わせた短期介入プログラムを作成し、管理職から部下への共感的な姿勢や,自他を尊重したコミュニケーションの促進を目的とする。 一般企業就労者を対象とした、クラスター無作為化比較試験によって、介入群が所属する部署の1)パワハラ被害が減少し、2)部下のワーク・エンゲイジメントが高まるという介入効果を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,職場パワーハラスメント(以下,パワハラ)を防止するとともに,ワーク・エンゲイジメントを向上へと導く,組織開発を実現するための効果的な短期介入プログラムを作成し,その効果性を検証した。製薬会社Aの就労者475名を対象とした3回の縦断調査と,管理職を対象としたプログラムの開発と実施,介入期間とコントロール期間の比較を行った。介入プログラムはアンガーマネジメントやアサーション,積極的傾聴,パワーハラスメント教育、リラクセ―ション,マインドフルネスから構成され,管理職から部下への共感的な姿勢,自他を尊重したコミュニケーションの促進を目的とした。プログラムを受講した管理職の部下への関わりが改善することで,部下のパワハラ被害が減少し,ワーク・エンゲイジメントが向上するという仮説を検証した。反復測定分散分析と下位検定の結果,プログラム実施後にパワハラ被害を受けなくなった就労者のワーク・エンゲイジメントが有意に向上し,仮説を一部支持した。元々受けていたパワハラの被害を戦略的になくすことによって,ワーク・エンゲイジメントを高めるという効果を示唆した。本研究結果について2編の論文が受理され,1編の論文が審査中である。 上記を発展させて,現在,製薬会社の就労者475名およびインフラ関連企業Bの就労者435名を対象に、Webシステムを用いた3回の縦断調査と、管理職(B:介入群と統制群の比較)および一般職(A:介入群と統制群のランダム化比較試験)を対象とした組織開発を目的とした介入プログラムを実施している。2024年3月に全ての調査を終え、2024年4月以降は線形混合モデルもしくは反復測定分散分析によるデータ解析、論文執筆、学会等での研究成果の公表を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画した管理職を介入対象とした研究は想定よりも早く研究が進み,予定していた計画は全て終了した。現在はその結果を受けて,研究計画を発展させ,一般職を介入対象とした研究を新たに進めている段階であるため,当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
管理職を対象とした介入の結果,ベースラインにパワハラを受けていた群で,調査や介入後のパワハラ体験が有意に低下するという効果や,ベースラインでワーク・エンゲイジメントが低い一般職や,介入後にパワハラが減少した一般職のワーク・エンゲイジメントが介入後に向上するという効果を示唆した。しかし,パワハラの抑制が調査だけでも得られたのか,プログラムによって効果が促進・持続したのかを明らかにできず,ワーク・エンゲイジメント向上効果は一部の就労者に限定された。そのため,調査と介入を実施する部署と調査のみの部署とで無作為化比較試験を行い,調査だけでもパワハラの抑止力があるか否かの検証と,幅広い群のワーク・エンゲイジメントを促進しうる効果性の高いプログラムの開発が求められる。管理職が少数で大多数が一般職で構成される組織などでは特に,得られる介入効果は限定的になる可能性がある。管理職の部下に対する共感的な姿勢が備わっていることは前提条件として求められるが,その上で部下自身がコミュニケーションスキルやストレス対処力を身につけることが,ワーク・エンゲイジメントの促進,パワハラの防止に寄与するものと考えられる。 上記のことから,現在,製薬会社の就労者475名およびインフラ関連企業Bの就労者435名を対象に、Webシステムを用いた3回の縦断調査と、管理職(B:介入群と統制群の比較)および一般職(A:介入群と統制群のランダム化比較試験)を対象とした介入プログラムを実施している。2024年3月に全ての調査を終え、2024年4月以降は線形混合モデルもしくは反復測定分散分析によるデータ解析、論文執筆、学会等での研究成果の公表を行う。
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