Project/Area Number |
23KJ1690
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋田 將史 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 量子群の表現論 / 調和解析 / リーマン幾何 / 量子団代数 |
Outline of Research at the Start |
非可換幾何学は,代数と幾何が表裏一体であるという考えを基にし,作用素環論の手法を幾何学の諸問題に応用する枠組みとして導入された.非可換幾何で大きな枠組みを形成する量子群は,量子座標環として,数多くの方法論から非可換代数の重要な例を与える.非可換幾何学に対するアプローチの一つに,リーマン幾何の描像を直接反映した量子リーマン幾何学がある. 本研究のテーマは,この量子リーマン構造の一つである q-ラプラス作用素に対する, q-特殊関数を用いた量子調和解析である.量子群が持つ「非可換な空間」の対称性という側面の様々な研究に q-ラプラス作用素に関連する道具を応用し新たな展開を生み出す.
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Outline of Annual Research Achievements |
1.量子リーマン幾何構造から定まる q-差分熱方程式の解を計算するため,その雛形として, SL(2,R)上の熱核の求積を,複数の手法で実施した.令和5年度には,多様体として SL(2,R)を対角作用の軌道の空間とみなす手法を新たに与えた.対角作用を用いる手法は,研究目的とする量子群における設定に対し,代数側で対応する操作があり応用可能である,という利点がある.本稿執筆時点で, SL(2,R)上の熱核ですでに得ていた他の結果と合わせ論文を準備している.
2.当該年度に実施を計画した,等質空間の q-変形として書ける量子群上の球関数を用いて q-差分熱方程式の解を構成し,量子リーマン幾何から定まる量とその解との関係を調べる研究について.本プロジェクトが研究計画でターゲットとしていた SL(n)より一般的なクラスである,標数が2ではない代数閉体上の連結簡約代数群に対し等質空間の座標環の q-変形を構成する論文が,海外の研究者により arXivで令和5年度に公開された.論文の著者にコンタクトをとり,対面・オンラインの両方で,例えば q-特殊関数の観点から得られた座標環の元を理解できないか,といういくつかの質問について議論した.本プロジェクトとの関連では,(1)の雛形において熱核の求積で球関数が果たした役割を q-差分熱方程式に応用することを目指すという点で,量子対称対の構造を利用し,等質空間の座標環の q-変形に支配ウェイトを用いたフィルトレーションを入れるこの論文の手法は,所望の球関数の候補を与え具体的に計算をすることを可能にするため重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要(2)にある,研究計画段階で考えていなかった他の研究者による進展があったため,彼らが用いた手法の勉強をする必要があった.当該年度に投稿を予定されていた概要(1)で準備中の論文は,対角作用を用いる導出を加筆するため未達成である.当該年度内に完了を計画していた SU_q(2)上の q-差分熱方程式について, SL_q(2)の q-差分熱方程式の考察に役立つ量子リーマン幾何構造との関連を見つけるところまで至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も引き続き,概要(2)で言及していた海外の量子対称対の研究者と交流し,情報交換を活発に行いたい.また,前年度は若手主体の研究集会で,前回の実行委員の一人として企画の補助を行なった.そこで培われたノウハウを活かし,本年度も学生として研究交流の場を増やすことに努める.
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