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長寿命樹木における個体内の遺伝的多様性が生み出す環境適応力の解明

Research Project

Project/Area Number 23KJ1722
Research Category

Grant-in-Aid for JSPS Fellows

Allocation TypeMulti-year Fund
Section国内
Review Section Basic Section 45040:Ecology and environment-related
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

富本 創  九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2023-04-25 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Keywords体細胞突然変異 / 遺伝的多様性 / 数理モデル / ゲノム解析 / 環境適応 / 樹木 / 個体性 / 幹細胞
Outline of Research at the Start

遺伝的多様性の創出機構とその生態学的意義の解明は重要である。森林生態系を形づくる樹木は集団内に高い遺伝的多様性をもつが、近年、樹木個体内にも遺伝的多様性が存在することが明らかとなってきた。本研究では、個体内で生じた体細胞変異が次世代へ受け継がれることで集団の遺伝的多様性を高め、環境の変化に対する樹木の迅速な適応を可能にするという仮説を数理モデルとゲノム解析を融合したアプローチによって検証する。

Outline of Annual Research Achievements

長寿な樹木の個体内では体細胞突然変異が蓄積する。体細胞変異は成長に伴って拡がり、枝ごとに異なるゲノムをもつ遺伝的にモザイクな個体が形づくられる。樹木では、体細胞変異は各枝から次世代へ受け継がれるため、芽生えの段階では遺伝的に同一であった1個体の樹木から、遺伝的に多様な次世代が生じる。本研究課題では、個体内に蓄積した体細胞変異がどれだけ樹木集団の遺伝的多様性を高め、適応進化に寄与するのか数理モデルとゲノム解析から検証する。
令和5年度はとくに、体細胞変異によって生じる個体内の遺伝構造を中心に研究を行なった。まず個体内の遺伝的多様性が、樹木のとる樹形構造に応じてどの様に変化するのかを数理モデルを用いて評価した。遺伝的多様性は枝間の距離が大きくなる程、増加した。茎頂分裂組織内の幹細胞間に遺伝的な異質性がある場合、枝分かれ前の幹の長さも遺伝的多様性の増加に寄与した。また個体内の枝の総延長が一定の場合には、頂芽優勢が強い樹形ほど、個体内の遺伝的多様性が大きくなった。以上の内容は既に論文にまとめ、現在査読中である。また、個体内に蓄えられた遺伝的多様性が進化に与える影響について検証し、注目する生態・進化的現象に応じた適切な遺伝的多様性の指標を提案した。こちらも査読中である。さらに実際の熱帯樹木4個体から得られた体細胞変異のデータをもとに、個体内における体細胞変異の動的な蓄積過程の推定を行っている。体細胞変異を持つ細胞の系譜を追跡することで、樹木の成長における幹細胞系列の維持メカニズムの解明も期待できる。現在、解析を進め論文を執筆中である。並行してゲノム解析および、変動環境への体細胞変異の寄与のモデル解析の準備も行なっている。
加えて新たに、体細胞変異と生殖細胞変異それぞれの進化への寄与を数理的に評価する研究を進めている。当初予定していた研究計画に加え、新規研究の進展もあり、順調に進んでいる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和5年度はとくに、体細胞変異によって生じる個体内の遺伝構造を中心に研究を行なった。まず個体内の遺伝的多様性が、樹木のとる樹形構造に応じてどの様に変化するのかを数理モデルを用いて評価した。遺伝的多様性は枝間の距離が大きくなる程、増加した。茎頂分裂組織内の幹細胞間に遺伝的な異質性がある場合、枝分かれ前の幹の長さも遺伝的多様性の増加に寄与した。また個体内の枝の総延長が一定の場合には、頂芽優勢が強い樹形ほど、個体内の遺伝的多様性が大きくなった。以上の内容は既に論文にまとめ、現在査読中である。また、個体内に蓄えられた遺伝的多様性が進化に与える影響について検証し、注目する生態・進化的現象に応じた適切な遺伝的多様性の指標を提案した。こちらも査読中である。さらに実際の熱帯樹木4個体から得られた体細胞変異のデータをもとに、個体内における体細胞変異の動的な蓄積過程の推定を行っている。体細胞変異を持つ細胞の系譜を追跡することで、樹木の成長における幹細胞系列の維持メカニズムの解明も期待できる。現在、解析を進め論文を執筆中である。並行してゲノム解析および、変動環境への体細胞変異の寄与のモデル解析の準備も行なっている。
加えて新たに、体細胞変異と生殖細胞変異それぞれの進化への寄与を数理的に評価する研究を進めている。当初予定していた研究計画に加え、新規研究の進展もあり、順調に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

令和6年度以降は、(i) ゲノム解析による亜寒帯樹木の体細胞変異の検出、および(ii) 体細胞変異が樹木集団の適応に与える影響を調べる。
まず(i)では、既存のリファレンスゲノムを用いて体細胞変異の検出がどの程度可能か検証するとともに、パイプラインを構築する。その後、必要に応じて当該個体から作成したリファレンスゲノムを用いて、体細胞変異の検出を高精度で行う。得られたデータをもとに、数理モデルを用いて亜寒帯樹木個体内での体細胞変異ダイナミクスを推定する。
次に(ii)では、まず令和5年度に着想した新規研究、体細胞変異と生殖細胞変異それぞれの進化への寄与の数理的評価を論文にまとめ投稿する。並行して、体細胞変異による変動環境への適応を数理モデルにより検証する。その後、(i)で得られたデータと統合しモデルの検証を行う。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (7 results)

All 2024 2023

All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 3 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Genetic diversity within a tree and alternative indexes for different evolutionary effects2024

    • Author(s)
      Iwasa, Y., Tomimoto, S., Satake, A.
    • Journal Title

      bioRxiv

      Volume: -

    • DOI

      10.1101/2024.02.24.581556

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Open Access
  • [Journal Article] The molecular clock in long-lived tropical trees is independent of growth2023

    • Author(s)
      Satake, A., Imai, R., Fujino, T., Tomimoto, S., Ohta K., Na’iem, M., Indrioko, S., Widiyatno, Purnomo, S., Molla Morales, A., Nizhynska, V., Tani, N., Suyama, Y., Sasaki, E., Kasahara, M.
    • Journal Title

      eLife

      Volume: 12

    • DOI

      10.7554/elife.88456.1

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Branching architecture affects genetic diversity within an individual tree2023

    • Author(s)
      Tomimoto, S., Iwasa, Y., Satake, A.
    • Journal Title

      bioRxiv

      Volume: -

    • DOI

      10.1101/2023.10.02.560431

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Open Access
  • [Presentation] Branching architecture affects genetic diversity within an individual tree2024

    • Author(s)
      Sou TOMIMOTO, Yoh IWASA, Akiko SATAKE
    • Organizer
      第71回日本生態学会, 横浜国立大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] はじめに:モジュラー生物で体細胞変異が受け継がれることの重要性2024

    • Author(s)
      富本創, 巌佐庸, 佐竹暁子
    • Organizer
      第71回日本生態学会, 横浜国立大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] Branching architecture and genetic diversity within an individual tree2023

    • Author(s)
      Tomimoto, S., Satake, A., and Iwasa, Y.
    • Organizer
      Gordon Research Conference on Ecological and Evolutionary Genomics, Rhode Island, August 2023.
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 樹形構造と体細胞突然変異による樹木個体内の遺伝的多型2023

    • Author(s)
      富本創, 佐竹暁子, 巌佐庸
    • Organizer
      日本進化学会第25回沖縄大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2023-04-26   Modified: 2024-12-25  

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